②の売れない時代は、皆さんご存じのとおり、現在の日本や先進国の顧客ニーズは、情報、モノ、コト、そのすべてがほぼ掘りつくされていて、商品・サービス自体の優位性をアピールするのはとても難しくなってきています。
そこで重要になるのが「聞く力」です。アメリカのリサーチ会社であるコーポレート・エグゼクティブ・ボード社が6000人の購買担当者を調査したところ、半数以上が「営業担当者がどれだけ自社を理解しているか」が購入の決め手になると回答していたのです。商品・サービス、ブランド、価格という要素を大きく引き離しています。聞く力はモノが売れにくい時代に大きな決め手になりうるのです。
聞くモードにスイッチを入れよう
では、どうしたら聞く力が上がるのかを考えてみましょう。そのためには、まずは人の話を聞く際に、自分がどのようなモードになっているか気づく必要があります。4つの聞くモードをご紹介します。
① ライトリスニングモード
これは聞き流しているモードです。表面上は聞いているふうを装っていても、違うことを考えていたりして話の内容をはっきりととらえていません。自分が話すほうにばかり気を取られている場合はこのモードになりがちです。
② シニカルリスニングモード
シニカルとは皮肉な、とかねじ曲げたという意味です。聞く前から相手の話を「きっとこうに違いない」と先入観を持っていたり、「この話には賛成できないな」など思い込みや偏見を持って聞いているモードです。
③ セレクティブリスニングモード
セレクティブとは選ぶという意味です。自分にとって都合の良いところだけを選んで聞いているモードです。よく「それわかる〜!」と調子よくいう人がいますが、もしかしたら都合の良いところだけを聞いてわかっている気になっているかもしれません。
④ マインドフルリスニングモード
マインドフルネスは「今、ここ」に意識を向けることですが、マインドフルリスニングは同様に目の前の相手に興味を持ち、相手の言葉や感情にフォーカスして聞くモードです。自分の注意のすべてを、相手が話していることに向けることによって、話の内容だけでなくて、相手の気持ちや意図、置かれた環境など、さまざまなことが伝わってきます。それにより深く相手のことを理解できるようになり、相手に対する共感が呼び起こされます。
実際にあるコンサルタントにこのモードのことを説明したところ、「コンサルは頭のよさそうなこと言わなきゃ、というプレッシャーが強いので、ついついライトリスニングになりがち。クライアントの話も落としどころを決めてるから、きっとこうだと最初から決めつけていたり、自分の提案に都合のいい情報ばっかり聞いちゃうんだよね」と反省していました。うなずけると思われる方も多いでしょう。
4つを比べるとマインドフルリスニングがいちばんいいというのはおわかりかと思いますが、注意していただきたいのは、このモードは意識しないかぎりなかなかそうならないモードだという点です。
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