意識せずに聞いている場合には、ほかの3つのモードのどれかになっていることがほとんどです。まずは目の前の相手に集中して意識のスイッチを切り替える必要があります。聞き流していないか、決めつけていないか、選んでいないかをチェックし、意識を目の前の相手に集中させます。
事実と感情を聞き出す聞き方
話をきちんと理解するということは大きく2つの意味を持ちます。相手の情報を理解するということ、相手の感情を理解するということです。
まず情報を理解する際には、「空・雨・傘」を使って整理しながら聞きましょう。空・雨・傘はマッキンゼーというコンサルティング会社で使われている以下のようなフレームワークです。
雨:それに対する解釈
傘:結論や行動
相手の話をこの種類の情報に整理しながら聞いていきます。たとえば、「こうしようと思うんです(傘)」という結論だけを相手が言った場合には、「なぜそうお考えになったのですか?(雨の質問)」「具体的にはどのようなことがあったのですか?(空の質問)」など足りていない空・雨を補うような質問をしていくのです。
また、事実だけを話す人に対しては、「それについてどう考えますか?(雨の質問)」「どのような対策を考えていますか?(傘の質問)」など、その人の考えや行動を聞くことでより話の理解度が深まっていきます。さらには「山田部長もそうお考えですか?」などほかの人の解釈を聞くことで多面的な情報を得ることもできます。
頭の中だけで考えるのは難しいので、ノートやメモを空・雨・傘と区切っておくと足りない情報が見えやすくなります。もしくはメモをとった後に赤・青などのカラーボールペンで色をつけてもよいでしょう。単に漠然としっかり聞こうと思うだけでは、何を聞き漏らしているかが把握できないので、事実・解釈・結論の3点を意識しながら聞くことで、質問もしやすくなってきます。
次に感情を把握するやり方ですが、情報を聞き出すのは聴覚に頼るのに対し、感情は主に視覚から得られる情報を意識します。話している人の表情や視線、身振り、声のトーンなどにフォーカスします。興味があるのかないのか、よく思っているのかどうか、問題意識の強さなどは非言語メッセージのほうによく表れてきます。ついメモをとったり、パソコン操作などに意識が向きすぎてしまうと、重要な非言語メッセージを見落としがちです。時にはペンを置き、相手をしっかりと見るようにしてください。
そして、相手の感情が理解できたと思ったら、それを言葉にして確認しましょう。たとえば「この点に危機感をお持ちなのですね」「とても煩わしいと感じていらっしゃるのですね」「すごく心配されているんですね」という具合です。この感情の聞き取りができると相手から「この人はしっかりと受け止めてくれた」と認識され、信頼感が高まります。
自分の話を価値判断を加えることなく、ありのままに聞いてくれたと思えると、安心したいという欲求や、承認欲求なども満たされます。相手の話をきちんと聞き、受け止めることは人間関係全般をよくすることにつながります。自分が思っている以上に、相手の話に注意を向けているかどうかは相手には伝わっています。上の空になりがちな自分の気持ちを、目の前の相手に集中させてみましょう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら