人と話をしているとき、「この人はちゃんと自分の話を聞いているのかな?」と感じる相手はいませんか? 一方、自分でも人の話をしっかりと聞けているか自信がない……という方もいるでしょう。
何をもって本当に聞けているかは人により感じ方もあるでしょうが、「聞けない」ということは存外大きな“損失”をもたらします。
筆者は多くの企業で研修を担当していますが、「聞く力不足」には大いに危機感を持っています。きっかけは、提案書を作成するためのロールプレイング研修でした。
お客様役(講師)に受講者がヒアリングをして提案書を作成するという研修だったのですが、お客様役の講師が、「せっかく情報を準備しているのに、全然聞き出せずにヒアリング時間が終わっちゃうんだよね。大体2割くらいしか必要な情報を聞き出せてない」とぼやいていたのです。
実際に受講者によって作成された提案書をみると、クライアントの課題を把握し切れておらず、単に商品やサービスの説明ばかりになってしまっていたのです。これではお客様の信頼を勝ち得ることも、競合との差別化も難しいでしょう。
聞く力はこれからますます重要に
聞く力がますます重要になる背景としては2つあります。①ローコンテクスト時代、②売れない時代です。
ローコンテクスト時代は耳慣れない言葉かもしれませんね。コンテクストとは前提や背景という意味で、ローコンテクストとは、前提や背景が共有されていない状態という意味です。反対の言葉であるハイコンテクストは前提や背景などの共通認識が強いという意味です。
これまで日本企業は新卒で一斉に入社し終身雇用で転職も珍しく、会社や部門の考え方をみんなが共有している究極のハイコンテクスト社会であり、あまり細かいことを聞かずとも仕事を進めることができてきたわけです。しかし今では企業の統廃合やグローバル化、人材流動化などが進み、ますますローコンテクスト化が進んでいます。するときちんと相手の考えを聞きださないと仕事そのものが進められなくなってくるわけです。
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