ポンペオ氏訪朝で露呈したアメリカの「弱点」 情勢は北朝鮮に優位、アメリカは方針転換
マイク・ポンペオ国務長官による先日の訪朝を評価するのに、「生産的」という言葉が使われていた。ポンペオ国務長官による訪朝は今回で4回目。同氏は金正恩朝鮮労働党委員長と「良好で生産的な対話」ができたと述べる一方、北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)も「生産的ですばらしい」会談だったと評価。ポンペオ国務長官から会談の報告を受けた韓国の文在寅大統領と康京和外相も、結果にはおおむね満足の様子だ。
ポンペオ国務長官の訪朝がどれだけ生産的だったかは評価が分かれるところだろう。しかし、対話が前進したことだけは間違いなさそうだ。2回目の米朝首脳会談に向けたすり合わせ、非核化についての世論のコントロール、利害関係国との調整では進展があったと見ていい。
しかし今回の対談では、アメリカが抱える弱点も露呈した。北朝鮮に圧力をかけ続けるというアメリカのスタンスはぐらつき、南北関係を巡る米韓の不協和音も強まっている。
2回目の米朝首脳会談へ、はじめの一歩
アメリカのドナルド・トランプ大統領は、金委員長との2回目の首脳会談を早期に開催したがっている。こうした状況で行われたポンペオ国務長官の訪朝で、次の首脳会談が議題に上るのは当然の流れといえた。しかし、ポンペオ国務長官は訪朝前の段階から、今回の訪朝で首脳会談の開催場所や日程が確定することはないと述べ、世の中の期待が高まりすぎないようくぎを刺してきた。
会談の結果は、まさにポンペオ国務長官が予告したとおりになった。国務省によれば、ポンペオ国務長官と金委員長は「次の首脳会談の場所や日程について選択肢を絞り込んだ」だけだ。
これらの選択肢を巡ってアメリカ内では今後、政治的な駆け引きが始まることになる。1回目の首脳会談のときがそうだったように、さまざまなゴシップが飛び出すことになるだろう。
たとえば、1回目の首脳会談は結果的にシンガポールで開催されたが、これはアメリカ政府高官が板門店での開催に反対したからだとされる。韓国政府を中心に事態が展開しているように見られたくなかったからだ。アメリカ政府内では、文氏の南北外交への警戒感が根強い。再び板門店が候補地にあがっていたとしたら、今回も反対論が巻き起こるに違いない。