北朝鮮にとって「米国との融和」は自殺行為だ リビア・イランの非核化から見えて来る未来
イランと同じ轍は踏まないアメリカ
米朝会談に先立つ2018年5月8日、トランプ大統領が2015年に同国および5カ国(英仏独中露)とイランが結んだ核合意からの離脱を発表した。そして、米国独自の制裁を再発動し、イランに厳しい制裁を科すことを表明した。
イランは12年に及ぶ経済制裁解除と引き換えに、2015年7月14日、最終的に(1)遠心分離機約1万9000基を6104基に削減、(2)ウラン濃縮率を15年間で3.67%以下に制限し、保有量を15年間で300キログラム以下に制限、(3)ウラン濃縮に関する研究は15年間ナタンズ施設に限定、(4)IAEAが定期的に査察を行う──などを承諾していた。だが、トランプ大統領は、これでは10~15年後にイランは再び核開発に乗り出すとして合意を破棄したのである。
トランプ政権が北朝鮮に対して、朝鮮半島の完全な非核化を主張していたのは、まさにここに理由がある。もともとイランは、従来平和目的の核開発は核拡散防止条約(NPT)加盟国として当然の権利であるとの主張を繰り返してきた。イランは核を持つアメリカやイスラエルに対し、核開発をして何が悪いのか、と平然と抵抗していたのである。
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