米朝首脳会談「何も学ばないアメリカ」の末路

歴史は作られるのではなく、作り直される

いよいよ開催が迫る「キムトラ」会談。歴史は作られるのか、それとも作り直されるのか(写真:Kim Kyung-Hoon/ロイター)

シンガポールに向かう中、ドナルド・トランプ米大統領は、「歴史上初だ」と記者団に誇らしげに語っていた。しかし、歴史はシンガポールでは作られるというより、作り直されることになりそうだ。

今回の計画に取り掛かる前にトランプ大統領が最も助言を求めるべき人物は、ビル・クリントン大統領(当時)である。現在の北朝鮮との関わりは、クリントン政権の最後の月の脚本に厳密に従っているからだ。そして、最近の金正恩朝鮮労働党委員長の言動とアプローチは、正恩の父・金正日総書記が2009年8月にクリントン大統領を北朝鮮に招いたときのそれと酷似している。このことをトランプ大統領に説明する者がいるとは思わないが、簡単におさらいすることでいくらか教訓を得ることができるかもしれない。

クリントン氏の平壌訪問を強く求めた

米国と北朝鮮は1994年、クリントン政権初期の北朝鮮の核計画を凍結する枠組み合意に署名したが、1998年までにこの取り決めは白紙に戻った。米国情報機関は、北朝鮮が金昌里(クムチャンリ)で、秘密の原子炉と再処理施設を建設している人工衛星の証拠を得たと考えた。同年8月31日、北朝鮮は、日本上空を超える長距離ミサイル実験を実施。これは人工衛星発射の失敗だったと主張しているが、朝鮮半島における戦争への恐怖を引き起こした。

緊張が高まる中、北朝鮮に融和的姿勢だった韓国の金大中大統領は、2000年6月に首脳会談を開き、最終的な半島の統一と平和への画期的な約束を表明。10月初め、金正日総書記は、右腕の趙明禄次帥をホワイトハウスに派遣し、クリントン大統領と会うとする金総書記からの書簡を渡し、クリントン大統領に平壌訪問を強く求めた。

共同声明で両者は、「21世紀は両国に利益をもたらし、さらに朝鮮半島とアジア太平洋地域の平和と安全を確保する方向に向かう」良好な関係について言及。「両国間のあらゆる敵対的な姿勢」を否定し、経済協力を含む「過去の対立から解放された」関係を構築することを約束した。また、クリントン元大統領の北朝鮮訪問を準備するために、マドレーヌ・オルブライト国務長官(当時)が平壌を訪れることを決めた。

オルブライト氏は10月末、金正日総書記と会談。会合は和やかな雰囲気で行われ、正賓の席ではコンピューターや映画好きで知られる金総書記の話が交わされ、そして北朝鮮が経済的に非常に困窮しており支援を熱望していることを確認した。実質的に、金総書記はミサイルの製造と販売を制限し、実験の一時停止を受け入れる準備ができていることを示した。

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