米朝首脳会談「何も学ばないアメリカ」の末路 歴史は作られるのではなく、作り直される

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しかし、クリントン大統領の訪問が実現することはなく、中断された。理由としては、政権終了が迫っていたことと、実現性の高い中東和平交渉に集中したことが挙げられる。東南アジアでの北朝鮮交渉担当者との1週間の交渉後、核兵器交渉担当のロバート・アインホーン氏はミサイル禁止への明確な約束を取り付けることができず、交渉は行き詰まった。

「北朝鮮は、アインホーン氏に詳細を提供することを拒否した」と国務省の元高官で韓国の専門家であるデイヴィッド・ストラウブ氏は当時を振り返る。「金日成氏が言ったことについてはコメントできないが信用してほしい、クリントン大統領が平壌を訪問することがあれば大切にもてなすだろう、と彼らは述べていた」。

米国を「服従」させることが最大の目的

最終的にクリントン元大統領は、2009年8月に平壌を訪問。すでに「元米国大統領」になっていたが、妻であるヒラリー・クリントン氏は、国務長官に就任していた。そして、北朝鮮に拘束されていた2人の米国人女性記者の解放を求めたと同時に、金総書記と話し合いを行ったとされている。

一方、金総書記にとってのこのときの目標は(結局失敗したものの)、米国大統領を「服従」させることだった。それは、クリントン元大統領の訪問後、北朝鮮が大々的に明らかにした写真からもわかる。元大統領が笑顔もなく緊張した面持ちで金総書記の隣に座り、その後ろに米国派遣団が並んでいる写真だ。

「北朝鮮政府は指導者がこうやって米国人を屈服させている写真を重要視する。国のエリートや一般国民に、米国人を北朝鮮の意思に従わせることができると示すことになるからだ」とクリントン元大統領に同行したストラウブ氏は話す。

ストラウブ氏が会議のために準備し、後にクリントン氏の側近ジョン・ポデスタ氏のハッキングによってウィキリークスで公開されたメモによると、金総書記は「両国間の緊張が高まっている中」訪問したことに対し、クリントン元大統領を賞賛。そして、「両国間の信頼関係と疑念の解消」のため、拘束した女性記者を解放するという米国の要請を検討するとした。

同時に、金総書記は関係悪化についてジョージ・W・ブッシュ元大統領と「新保守主義」を非難し続けた。また、バラク・オバマ大統領が前向きに、再び対話を行うと主張し政権に就いたにもかかわらず、オバマ大統領は北朝鮮の「衛星を軌道に乗せる権利」を「妨害」しているとも非難。北朝鮮は大国に囲まれた小さな国で、植民地支配に苦しみ「国家の誇りが強い」国だと金総書記は説明した。米国は敵ではない、と。実際、北朝鮮は米国との戦略的な関係を望んでいた。

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