最多動員のプロ野球、球団をどう変革するか PLMに求められるファン拡大の役割とは?

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パ・リーグ6球団共同出資で設立されたマーケティング会社であるパシフィックリーグマーケティング(以下、PLM)もファン層拡大に取り組んでいるが、その活動は必ずしも試合入場者数にこだわるものではない。

同社は2007年に設立され、公式ライブ動画配信サービス「パーソル パ・リーグTV」など6球団主催試合のインターネット放映権販売や6球団共同プロモーションの企画・実施管理などの「マーケティングサービス」「コンサルティングサービス」「共同権利の協賛・ライセンスサービス」、そして「人材組織マネジメント事業」など、パ・リーグの振興を目的とする幅広い事業を展開している。

最近の新しい取り組みとしては、PLMは埼玉西武ライオンズと連携して、今春に「丸の内朝大学」という市民大学で講座を開講した。「野球の魅力再発見クラス」というこの講座の中で、プロ野球ファンとのコミュニケーション促進とファン層拡大の新たなヒントを得るという狙いがライオンズにもあったという。

PLMと埼玉西武ライオンズの連携事業である「丸の内朝大学」の野球の魅力再発見クラスでは2回目の授業がメットライフドームで行なわれた(筆者撮影)

PLMは球場に足を運ぶ熱心なファンの獲得はもとより、ライトなファンの拡大を目指すことがミッションである。

ライトなファンも将来は球場へ足を運ぶようになる可能性もあり、パ・リーグにとって幅広いファンの獲得は重要な課題だ。

そして、パ・リーグのファン層拡大の施策を企画・立案・実行するうえで、スポーツ業界とビジネス知識の両方に精通したスポーツ経営人材を惹き付けることも重要だ。

スポーツ業界にどのように優秀な人材を集めるか

こうした問題意識の下、PLMは5月25日にJリーグのクラブやプロバスケのBリーグ、メディアなどとともにスポーツ業界合同の「パ・リーグ キャリアフォーラム」を開催したことを皮切りに、7月31日にはスポーツ業界特化型人材紹介サービス「PLMキャリア」の立ち上げを発表した。

インタビューに応じたPLMの根岸友喜社長(PLM提供)

PLMの根岸友喜社長は、「パ・リーグ キャリアフォーラム」について「当日は1800人以上の来場があり、スポーツ業界が人材募集を行っていることを広くPRすることができた。フォーラムをきっかけとした成約は6件あり、うち4件は入社確定に結び付いた」と成果を明かす。

また、PLMキャリアについては「今後は他の業界からスポーツ業界への”人材流入”のみならず、たとえば同じスポーツ業界内での”人材循環”という形などで人材流動化の一翼を担いたい。また、将来的にはスポーツ業界で活躍した人がコンサルや商社などさまざまな分野で活躍していただくのも目指したいものの一つである。

スポーツ業界から他の業界への”人材流出”はスポーツ業界にとっては痛手だが、優秀な人材を獲得するためには、スポーツ業界を卒業した後のイグジット(出口)事例を示す必要がある」と説明する。

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