鎌倉の宿の主人が「鎧」を着て接客をするワケ

福祉ではなく多様な雇用創出で障害者支援

さらに、2018年4月から障害者の法定雇用率が引き上げられたものの、昨今、省庁での障害者雇用の水増し問題が浮き彫りになっていることなどから推察すれば、実態の数値はもっと低いのは明らかだ。

「彩 鎌倉」1階客室(筆者撮影)

こうした障害者雇用の問題を正攻法で変えようとすれば、大変な時間がかかる。であれば自分たちで起業し、障害者も健常者と一緒に働けることを実地で証明するほうが早いし面白いと高野さんは考えた。「上から手を差し伸べる福祉ではなく、彼らと横に並んで働ける環境をつくりたい」という強烈な思いと、多数の観光客が訪れる鎌倉という環境が結び付き、ゲストハウスという構想が思い浮かんだ。

築90年の古民家を改装

ゲストハウス用の物件として築90年の古民家を借りたが、改装は予想以上に大変だった。玄関部分をスロープにし、1階の客室やシャワールームに車いすで移動できるよう床にはフレキシブルボードを敷き詰めた。また、電気のスイッチやシャワーなども、車いす利用に合わせた高さに調整した。

玄関は車いすが通れるようスロープにした(筆者撮影)

プレオープンを経て、「彩 鎌倉」が正式オープンしたのは2017年10月のことだ。「彩 鎌倉」という名前には、多様な人たち(多様なカラー)がかかわるゲストハウスという意味が込められている。

その後、オープンから1年で延べ1300人が宿泊した。このうち外国人が74%を占め、また全体の7%が車いす使用者だった。外国人は宿の仲介サイト、障害者はSNS経由で「彩 鎌倉」の存在と活動を知り、申し込んでくることが多いという。さらに、最近は武士姿の高野さんがメディアに露出する機会も多く、高野さん目当てで訪れる日本人客も増えつつある。

宿泊客と談笑する高野さん(筆者撮影)
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