企業が憤る「障害者雇用」の呆れた"二重構造"

雇用率水増しの裏で、企業に罰金を課す実態

中央官庁における障害者雇用水増し問題に対し、民間からは怒りの声が上がっている(撮影:今井康一)

「企業側は一生懸命頑張っているのに、『いったい何なんだ』という思いです。身内に甘いやり方、やっぱりそうだったんだと思いましたね」

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ある製造業の人事担当者は、中央省庁による障害者雇用の水増し問題について冷静に話してくれた。

今年8月、中央省庁全体で合わせて3460人に上る障害者雇用の水増しがあったことが発覚。水増しは実に42年間にもわたっていた。加藤勝信厚労大臣は「率先して障害者を雇用すべき立場にありながら、こうした事態となったことは誠に遺憾であります。また障害者雇用政策を推進する立場としても深くお詫びを申し上げます」と陳謝した。 

国税庁、国交省、法務省の水増しが多い

「障害者雇用促進法」では、民間・行政機関に対し、一定の割合以上の障害者を雇うよう義務付けている。今年の4月から障害者雇用の法定雇用率が民間では2.0%から2.2%に、行政機関は2.3%から2.5%に引き上げられたばかりだ。

昨年6月の時点で国の33行政機関のうち、8割にあたる27の機関で水増しされ、法律で定められた雇用率2.3%(昨年)を実際には大きく下回り、平均雇用率は1.19%だった。26機関が実際には未達成と判明、17機関では1%未満だったのだ。厚労省の調査結果では、水増し数が最も多かったのは、国税庁で1022.5人。次いで、国土交通省の603.5人、法務省の539.5人だった。(短時間労働者は、1人を0.5人としてカウント)

民間企業が必死に雇用者獲得に奔走している中での今回の水増し事件。民間に厳しい姿勢を取る一方で、省庁では厚労省に報告するだけで済ませるという、チェックもないずさんな運用がまかり通っていたことになる。

民間企業の人事担当者が怒りの声を挙げる理由として、雇用率が未達の際に罰則として人数分支払わなければならない「納付金制度」が根底にある。

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