企業が憤る「障害者雇用」の呆れた"二重構造"

雇用率水増しの裏で、企業に罰金を課す実態

雇用率のチェックはハローワークが行い、雇用率達成・未達成に関しては、機構が調査し支給・徴収することになっている。

大手販売企業の人事担当者B氏に、現状の問題点を挙げてもらった。

「精神障害者が多い場合、合理的な配慮として、彼らが持っている能力を存分に発揮してもらうことを第一に考えると、必要な休息を認めて体力の回復のチャンスを作るということが大事なんです。それが会社にとってできる配慮。でも、そうするとおのずと労働時間が下がってしまうというジレンマが生まれるんです」(大手販売企業人事担当者B氏)

そもそも会社は障害者から要望があった時、負担にならない範囲で配慮をすることが「障害者差別解消法」で求められている。

「短時間労働で月80時間の契約だとしていて、ちょっと調子が悪くて出られないといったら、普通の会社では許されないかもしれないんですけれど、われわれの現場では『また来週元気に働いてくれるために明日休みなさい』という配慮を行うわけです。そうすると80時間の労働時間が未達になって、76時間で終わったら、機構側は働いてないから罰金払ってくださいよと。おかしいですよね、この仕組み。できる範囲で彼らの環境作ってあげているつもりが、逆に罰金を取られることになるんですよ」(大手販売企業人事担当者B氏)

民間にだけ「納付金を払え」はおかしい

障害者雇用を進める企業に対して、民間の立場から支援している一般社団法人、障害者雇用企業支援協会(SACEC)の専務理事の畠山千蔭氏は納付金に関してこう語る。

「民間よりも高い雇用率をきちんと維持し、達成しているという率先垂範があって初めて、民間では努力が足りないところから納付金をもらうという理屈が成り立つわけで、片方は規定と異なる結果で済ませて、民間は納付金を払えというのは、これはおかしいですよね」

行政側は障害者雇用に関して、努力をしていないと判断した企業に関しては、厳しい姿勢で企業名を公表すると伝え、プレッシャーをかけてきた。そこには企業の尻をたたけば何とかなると思っている姿勢が見え隠れする。実際に取材をしてみると、企業側からは「障害者雇用はそんな甘いもんじゃない」と言う声が聞こえてきた。

「企業は業務にとって必要な人を採用するという大前提があります。マッチングの難しさを考えれば行政が思っているほど人材はいないのです。達成目標が2.2%とか2.3%だとか言っても、障害者手帳が基本的な判断基準なのですが、手帳を持っている人の数って限られていますよね。計算式に問題があるのではという指摘もあるのですが、このままさらに雇用率だけが上がっていくと、やがて雇用の限界が来るでしょうね」(畠山氏)

医療の発達などにより、身体障害者の数は減っており、また現在では初期の頃に雇用した障害者の人たちが定年退職を迎えている。数を補うために4月からは精神障害者雇用に踏み切ったが、行政からのアドバイスはほとんどなく、すべて企業任せになっている。

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