デジタル社会で生き残る銀行の条件とは何か

HSBCの統括責任者ルイス・サン氏に聞く

「金融は保守的な業界だが、デジタルエコノミー社会では積極的に変化を受け入れなければならない」。HSBCグループのルイス・サン氏は明快だ(撮影:尾形文繁)

銀行はキャッシュレス化など、急速に進むデジタル化や異業種の参入などにどう対応していくのだろうか。アジアを中心に、世界中で金融ビジネスを展開するHSBCグループで、グローバル・リクイディティ&キャッシュ・マネジメント部門アジア太平洋地域プロダクト・マネジメント統括責任者の要職にあるルイス・サン氏に話を聞いた。

誰もデジタル化の衝撃を止められない

私はHSBCに入行して以来、16年にわたってプロダクトマネジャーを務めてきました。この間、銀行もそうですが、世界的にエキサイティングな変化がありました。たとえば、私が入行した2002年、業務上のさまざまな書類、契約書の類はすべて紙ベースでした。しかし、今は「HSBC NEXT」というデジタルシステムに転換されています。

もちろん、世の中の変化は、こうした「紙ベースの書類などがなくなった」という程度の話ではありません。もっと革新的な変化が生じています。たとえばある大手おむつメーカーは、中国の国内で販路を拡大するにあたって、従来は代理店を使っていました。しかし2年前から徐々に代理店を使わなくなり、今は事業全体の30%をダイレクト販売に切り替えています。

次に、これは私自身の経験ですが、先日、沖縄で4日間の休暇を楽しもうと思い立ち、出かけるわずか1週間前に旅行関連のオンラインプラットフォームを使って航空券を予約しました。

この作業に要した時間はたった15分程度です。航空券を確保すると、今度はホテルを提案してきたので、2つのホテルを予約しました。そこから、さらに「現地でここに行くならこのチケットが事前に予約できる」「このお店は和食がおいしいからおすすめ」「レンタカーもどうですか」というように、いろいろな提案が次々に行われました。5年前には、ここまで充実したサービスが受けられるとは思いもしませんでした。

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