「ブロックチェーン信仰」が揺らぎ始めた理由 金融は「電子化・集中化・規制強化」に向かう
またも起きた暗号資産流出事件
すでに慣れてしまった感もあるが、つい先日、今年9月に暗号資産(もう仮想通貨とはいわない)交換サイト「Zaif(ザイフ)」を運営するテックビューロは不正アクセスにより流出した暗号資産の総額が約70億円と発表した。暗号資産の流出については、以前にも今年の1月にコインチェックの590億円の流出事件をはじめ、いくつも起きているせいか、70億円で驚く向きも少ないように感じられる。
しかし、これは金額のみならず、それ以上に意味を持つ“重大な事件”なのである。金融庁が2回も検査が入り、2回も行政処分を出した後に起きた事件だからである。今回の事件で3回目の行政処分となっている。「すべてにおいて不十分だった」と金融庁がコメントを出したが、これには恐れ入った。
この「すべてにおいて不十分だった」という言葉は、大変重要な意味を持つ。今までの検査(仕事)の意味がなかったということだからである。金融庁がこの自己否定的な発言をあえて出した「本当の意味」が筆者もわからない。幹部が”総”入れ替えしたのも理由のひとつかもしれない。
また、これが暗号資産交換業者でなく、たとえば銀行の場合では対処はもっときつくなり、営業停止以上に相当すると考える人は多いのではないか。もちろんテックビューロは営業停止の処分は受けていない。
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