「関空」経営陣、災害対応で露呈した根本問題

民営化後の日仏合弁体制が生んだひずみ

実際、日本航空の赤坂祐二社長は、「(関西エアポートは)空港運営については知見があるものの、航空会社のオペレーションに絡む経験がそんなに多くないと感じた。飛行機がどうやって飛んでいるかについて、一緒にコミュニケーションしていく必要がある」と指摘している。

台風直撃当日、国際線貨物地区は広く冠水していた(写真:関西エアポート)

一向に台風対応が進まない中でも、バンシ側はやり方を変えようとしなかった。結局政府の後ろ盾を得た山谷社長らオリックス側の経営陣がバンシ側に異議を唱え、復旧や対策の主導権を握っていったという。「国が介入したからこそ、オリックスとバンシの悪しき対等関係を崩すことができた」と関係者はつぶやく。

旧体制からの社員は失望、離職者も続出

旧体制からの社員たちからは、「私たちが動いた方が早い」「優先順位が違う」「もっと最善の方法が取れるのになぜやらないのか」などと、怒りの声が相次いだ。彼らは日頃からオリックスやバンシの経営陣から、「今までは国管理だったからダメだったんだ。民間はもっと賢明かつスピーディー。国に育てられた君たちはもっと民間意識を持ちなさい」と事あるごとに言われていた。それゆえに、台風直撃の3日後に国交省が発表した復旧プランを「社員たちは忸怩たる思いで見ていた」(関係者)。

民営化後の社内のモチベーション低下は著しいという。「旧体制から経験を積んできた“航空のプロ”がどんどん辞めている」(航空会社幹部)。しかも、「多種多様な部門でまんべんなく離職者が次々に出ている」(関空関係者)。

直近では空港業務に関する外部コンサルタントの起用が目立ち、社内からは疑問の声が相次いでいる。「高いお金をかける割には、使えるような提言はほとんどないと社員の多くは思っている」(関係者)。今回の危機対応をなんとか乗り切ったものの、「コンサルだらけの生活に戻ることに頭を抱えている社員もいる」(同)。

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