「関空」経営陣、災害対応で露呈した根本問題

民営化後の日仏合弁体制が生んだひずみ

関西エアポートの煮えきれない対応に対し、「首相官邸が激怒した」(前出の航空会社幹部)。政府は緊急のタスクフォースを発足させ、復旧プランを策定。9月7日の朝に石井啓一国交相が記者会見で発表した。

関西エアポートの山谷佳之社長(右)とエマヌエル・ムノント副社長(左)。この2人が「Co-CEO」として共同経営する体制を取っている(9月8日の記者会見で記者撮影)

だが複数の関空関係者によれば、このプランをめぐって関西エアポートのトップが割れた。同社はオリックス出身の山谷佳之社長とバンシ出身のエマヌエル・ムノント副社長が、「Co-CEO(共同CEO)」として共同で経営する体制を取っている。

国交省の復旧プランは日本語のみで作成された。山谷社長らオリックス側の経営陣は、タイムリーに情報を入手していた。だがムノント副社長らバンシ側の経営陣は日本語が不得手。プランの翻訳はその日の夕方になって出来上がった。

社長と副社長が緊急時に言い争い

「共同経営体制なのに、なぜ同時に情報を入れてくれなかったんだ」。翌8日朝の会議でムノント副社長は、山谷社長にそう噛みついた。山谷氏が「だったらお前が日本語を勉強しろ」と応じると、ムノント氏は「お前がフランスに来たときは、フランス語で情報共有するからな」と吐き捨てたという。

台風が直撃した9月4日、第1ターミナルの地下電源設備が浸水している様子(写真:関西エアポート)

口論にいらだったある社員は、「そんなケンカをしていないで、意思決定をしてください」と言い放った。だがその場にいた社員らは部屋から出され、会議が中断。経営陣のみの話し合いが30分以上行われた。呆れた何人かの社員は会議の再開を待たずに、持ち場へ戻ったという。

「今回の混乱は起こるべくして起こったもの」。関空関係者らは異口同音にそう指摘する。「災害や事故など、時間との勝負となった場合、社内コミュニケーションや(日仏企業の共同経営という)経営陣の構図の問題がある限り、うまく対応できるはずがないのは火を見るより明らかだった」(関係者)。

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