パイロットが足りない!急成長「LCC」の難題 引き抜き合戦に限界、ピーチは自社養成開始

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全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)は長年自社養成でパイロットを賄ってきた(写真:ANA)

「航空会社同士がパイロットを取り合っている場合じゃない」

ANAホールディングス傘下のLCC(格安航空会社)ピーチ・アビエーションは、2019年度から国内LCCとして初めて、未経験者の自社パイロット養成に乗り出す。

プログラムを統括するピーチ運航本部の那波俊之副本部長は、冒頭のようにパイロット採用の厳しい現状を語る。「日本の転職市場ではパイロット経験者が潤沢にはおらず、人数を増やす取り組みを行わなければならない」(那波氏)。2019年度末に予定するバニラ・エアとの経営統合も、パイロット確保が狙いの一つだ。

パイロットの養成プロセスは、航空会社が未経験者を一から育てる自社養成のほか、国の養成機関である航空大学校や私立大学などで操縦免許を取得したうえで航空会社に入社し、副操縦士を目指す道もある。

ピーチの養成プログラムは応募殺到

ピーチでは就航した2012年から、そうした免許取得者向けの養成プログラムを実施。これまでに50~60人の副操縦士を輩出してきたが、自社養成の開始により採用の門戸を大きく広げる形となる。初年度は若干名の募集だが、8月初旬からの1カ月で約1300人の応募があった。大学生だけでなく、社会人からの応募も少なくないという。

自社養成はこれまで日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)といった航空大手のパイロット確保の要となってきた。スカイマークも2014年に養成を始め、今年4月に第1期生が副操縦士に昇格。当面、各社は自社養成で事業計画の拡大に対応する方針だ。

国土交通省によれば、航空会社が行う自社養成に必要な費用は、1人当たり4000万~5000万円。しかしLCCであるピーチが、大手のように全額を負担するのは採算上難しい。

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