「関空」経営陣、災害対応で露呈した根本問題

民営化後の日仏合弁体制が生んだひずみ

社内コミュニケーションにおける問題の筆頭は、言語だった。民営化前、国が100%出資する新関西国際空港株式会社が運営していた時代は、社員はもちろん、取引先や国、自治体、財界はほとんどが日本人であり、日本語だけで事足りていた。

だがバンシが経営に入ったことで外国人幹部が多数登用された結果、日本語と英語の両方でのコミュニケーションが必要になり、時間がかかるようになったという。また、日本人相手に提案する資料でさえも、社内では英語の資料を作成したうえで議論しなければならず、議論の結果を説明する際には再度日本語に翻訳する必要に迫られた。

社内コミュニケーションが停滞

確かに外資系企業が後から経営に参画すれば、どの企業にも起こりうる問題かもしれない。ただコミュニケーションの問題はこれだけではなかった。

台風直後、閉鎖された第1ターミナル周辺はいつもの賑わいがウソかのように、静まり返っていた(記者撮影)

まずオリックスは過去に空港運営の経験がない。そのため本題の議論に入る前に、用語や過去の経緯をすべて説明する必要があった。一方のバンシに対しては、日本の地理や制度、法律についての説明が求められたという。

「1時間の会議であれば、前半の30分以上がオリックスとバンシのための基礎的な説明や議論に充てられることも多々あった。3~4時間話し合った末に何も進展がないムダな会議も多く、旧体制から在籍している社員のいらだちは募る一方だった」(関係者)

2016年末に関西エアポートが設立された際、山谷社長とムノント副社長は互いを「ブラザー(兄弟)」と呼び、仲の良さを強調していた。だが先述の通り、緊急事態の中で両者の関係はそれとは程遠いものだった。

空港というインフラの危機管理においては、オリックス側は、基本的にバンシ側の専門性に委ねるという方針だった。ただ関係者の話を総合すると、日本の空港や航空会社の事情を無視し、バンシ独自の危機対応策を強行したことが初期対応が遅れた大きな要因だったとみられる。

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