堀江貴文氏が出資する「宇宙ビジネス」の未来 「失敗も苦難も、全て夢へのプロセスだ」

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でも、このロケットが宇宙空間に飛び立って終わりかと言われたら、そうではないんです。僕たちのゴールは、あくまで「宇宙への宅配便」となる「輸送サービス」をつくること。そのためには、現状、年に3~4回程度しかないロケットの打ち上げ頻度を上げ、100億円ほどかかる開発費用を最小限に抑えたロケットを開発する必要があります。そして、宇宙空間に「安くて高頻度な輸送手段」としての、ロケットを使った新しいインフラをつくりたいと思っているんです。

稲川貴大/インターステラテクノロジズ株式会社 代表取締役社長。大学院卒業後、大手光学メーカーへの入社を直前で辞退し、ロケット開発を手掛けるベンチャー企業インターステラテクノロジズへ入社。2014年に代表取締役社長に就任(写真:エンジニアtype)

そこで僕たちは今、MOMO3号機と並行して、新しいロケットの開発もしています。開発コードネームは『ZERO』。エンジンを新しく作るところから始めていて、まさに今、設計、製造中です。MOMOは「宇宙空間にロケットを飛ばす」ことを目的とした「観測ロケット」。

宇宙空間に出たとしても、すぐ地球に戻って来るんです。一方、新型ロケットZEROは「超小型の人工衛星を軌道に投入するためのロケット」。地球の周りをぐるぐると回り続けます。今、小型の人工衛星を作ることは世界的に、すごく流行っているということもあるんですが、ZEROの開発がうまくいけば、僕たちが目指す、「宇宙への宅配便」を作ることに繋がるんですよ。

ZEROを飛ばすためには、MOMOの機体よりも効率よく速度を出すことが求められるため、ロケット自体を大きくする必要がありました。だから、ZEROの機体はMOMOの約2倍となる全長約18mで、太さも約4倍の2m弱。

また、エンジンもMOMOとは根本から変わっていて、大きく改良しています。これからのメインビジネスにすることも想定し、2020年頃の打ち上げを目標にZEROの開発に注力していますが、そこで重要になるのがそれを一緒にやる仲間たちです。

“ないない尽くし”だから、ロマンがある

宇宙開発って、今までだったら、「一部の選ばれた人たちだけのもの」って思われがちでしたよね。NASAやJAXAなどの国の開発機関に入るか、ロケット開発をしている大企業に入るかという。それぐらい宇宙開発に関わることは、狭き門だと考えられていました。

でも、今は状況が一変しています。ご存知の通り、民間企業が続々と宇宙ビジネスに参入していて、僕たちみたいなベンチャー企業も生まれている。僕らはロケット作りに必要な機材や部品を秋葉原の電気街や、『ヤフオク!』のようなネットオークションで買って使っていますが、それくらいロケット作りのハードルは下がっているとも言えます。

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