シャイで内気な日本人に「Slack」が合う理由 東京だけでも500万~800万人が潜在利用者

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Stewart Butterfield/1973年カナダ生まれ。英ケンブリッジ大学で哲学の修士号を取得した後、ゲーム会社を設立。ここから派生した写真共有サービス「Flickr(フリッカー)」をヤフーに売却。2009年に再びゲーム会社を設立し、このゲームで利用していたチャットサービスを軸に2014年スラック・テクノロジーズを創業(記者撮影)
複数部署をまたいだ横断的プロジェクトや、他部署間でのコラボレーションが増えるなど、仕事が複雑化する中、ビジネスチャットツールを導入する会社が増えている。中でも、この分野の急先鋒と言われるのが、「Slack(スラック)」である。
ビジネスチャットは職場用ラインのようなもので、特定のテーマごとに複数人がメッセージやファイルなどをやり取りできる。4年前に創業したスラック・テクノロジーズの直近のアクティブユーザー数は全世界で800万人。そのうち、300万人が有償サービスのユーザーだ。日本でも、ヤフーが全社導入するなど、利用企業がじわじわ増えている(働き方を変える「Slack」、急成長の舞台裏
8月末には新たに4億2700万ドル(約480億円)を調達し、評価額は71億ドル(約8000億円)に。アメリカのハイテク業界で最も熱いと言われるスラックのスチュワート・バターフィールドCEOを直撃した。

「生産性が上がり、職場の雰囲気も改善する」

――評価額があっという間に71億ドル(約8000億円)になりました。

評価額は、私たちがつねに新たな機能を追加したり、改善したりするだけでなく、顧客サポートなどを拡充して顧客のニーズにこたえることによって、新たな顧客を獲得し続けていると同時に、既存の顧客とより深い関係を築いている結果によるもの。それを考えると、評価額が上がるのはうれしいことだ。

――スラックを導入する企業は具体的にどう変わりますか。

スラックを使うことによる変化は、顧客によって異なる。が、だいたい全体の20%では、職場での透明性が増したという結果が出ている。

英語では「透明性が増した」というと、上司が部下に対して、現在置かれている状況や問題などあらゆる情報を包み隠さず伝えるということだが、ここで言う透明性はそういうことではなくて、組織の見通しがよくなることを言っている。自分のチームのほかのメンバーが何をやっているか、自分とは違うチームや部署の人が何をやっているか、ということがよくわかるようになっている。

社員が不快な気持ちになるのは、チームや会社が何かを決めたときに、その過程や理由がわからないときだ。そういう状況に置かれると、社員はとても無力な気持ちになる。一方、誰もが必要な情報を得ることができれば、生産性が上がるだけでなく、職場の雰囲気も改善する。

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