シャイで内気な日本人に「Slack」が合う理由 東京だけでも500万~800万人が潜在利用者

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大企業には守らないといけない「ほかの」事業がある。私たちはマイクロソフトの競合だが、彼らはまた社内にもライバルがいる。

「マイクロソフト・チームス」のほかに、「シェアポイント」「ヤンマー」「アウトルック」「オフィス365グループス」といろいろあるだけに、社内の競争も激しいはずだ。

現時点でどこかに買われる選択肢はほぼない

――アマゾンがスラックの買収に興味があるという報道などもありますが、大手に買収されることを考えることは。

私とほかの共同創業者3人は、写真共有サービスの「Flickr(フリッカー)」の創業者でもあり、ヤフーという大企業に買収される経験もしている。独立起業でいるか、買収されるかという話については、2つの見方がある。1つは、私個人としての見解、もう1つは、会社のトップとしての見解だ。個人としては、会社がここまで来たことはないし、目の前には非常に大きなチャンスが広がっているので、ここからどうなるのか見てみたいという気持ちがある。

一方で、スラックの会長兼CEO、あるいは、投資を受けている立場としては、今後買収される可能性が一切ないとは言い切れない。とはいえ、私個人、そしてスラックの経営陣や投資家、そして従業員の誰もが目の前にあるチャンスは非常に大きいため、現時点でどこかの会社に買われるというのはありえない決断だとは思うが、まったくないとは言えない。もし、私がすべての株を持っていれば、ノーと言うだろうけどね。

スラックは目下、ものすごい早さで成長しており、現在毎日800万人のユーザーが利用している。が、これは私たちがスラックのユーザーになると見込んでいる数、2億人の4%にすぎず、そこに行き着くにはあと10年ほどかかりそうだ。

日本だけで言っても現在、50万人のユーザーがいて、今後は東京だけでもユーザー数は500万~800万人に膨らむとみている。そう考えると、今後も成長の余地はものすごく大きいわけだ。そういう成長をすることを投資家は期待しているのだろう。

――5年、10年後、事業環境はどのように変化しているでしょうか。

ソフトウエアがどんどん小さくなり、ニッチになっていくという過去20年間続いたトレンドは今後も続くだろう。つまり、ある特定の用途や目的に特化したソフトが今後も増えていくということだ。営業、マーケティング、エンジニアなどそれぞれの仕事に特化したサポートツールなども今や数多くある。

その中で、スラックの役割は、個人がそれぞれの仕事において最大限の能力を発揮できるようにすることだ。企業の採用担当者や弁護士、営業担当者など使う人が誰であれ、スラックは組織におけるコミュニケーションやコラボレーションのハブになる。今後、それぞれの分野においてよりグレードの高いソフトが登場したとしても、スラックと連携させることが可能だ。

――働き方を変えるツールが出れば、働く時間も減りますか。

いや、おそらく変わらないだろうね。人間は働く時間は約4000年前の新石器時代からほとんど変わっていないから。

倉沢 美左 東洋経済 記者

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くらさわ みさ / Misa Kurasawa

米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。米国に11年滞在後、2006年に東洋経済新報社入社。放送、電力業界などを担当する傍ら、米国のハイテク企業や経営者の取材も趣味的に続けている。2015年4月から東洋経済オンライン編集部に所属、2018年10月から副編集長。 中南米(とりわけブラジル)が好きで、「南米特集」を夢見ているが自分が現役中は難しい気がしている。歌も好き。

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