シャイで内気な日本人に「Slack」が合う理由

東京だけでも500万~800万人が潜在利用者

――日本はいまだにメール文化が根強い。どう説得しますか。

インテルのアンディ・グローブが書いた『ハイアウトプット・マネジメント』という日本の半導体企業との競争について書かれた本があって、その中にメールの話が出てくる。

メールが登場する前、インテルは非常に官僚的かつ閉鎖的な組織で、社員の多くは個室で仕事をしていたが、日本は部長や課長が社員と同じ机に座っていて、すべてのやり取りはある意味オープンだった。つまり、チームの誰もがほかのメンバーがどんな仕事をしているのか、それがどんな状態にあるのかわかっていた。わざわざコミュニケーションの活性化を図る必要がなかったので、メールが浸透するのに時間がかかったわけだ。

一方、インテルはメールを取り入れたことでコミュニケーションが活性化し、その結果形成が逆転した。

小規模で、一点に集中していることが強み

この話は、テクノロジーの導入によって振り子が揺れるように形成が変わる、という点だけでなく、異なる文化や国では新しいテクノロジーに対する姿勢も異なるという観点からも非常に興味深いと思う。

日本でもスラックに対する関心はとても高いと感じている。そうでなければ、スラックにとって(デイリーユーザーベースで)2番目に大きな市場にはならないだろう。文化的に新しいテクノロジーに対してオープンなのかもしれないし、メールから移行するメリットが大きいからなのかもしれない。ただし、完全にメールからスイッチしてもらうためには、そのメリットが明確かつ大きいものだと証明できないといけない。

――ビジネスチャット市場には、マイクロソフトやフェイスブックなど大手も参入しています。

小規模かつ1点に集中しているということは、それだけで強みになると思う。1990年代のIBMとマイクロソフトがいい例だ。当時、IBMはハイテク業界における巨人で、最もパワフルな会社だったのに対して、マイクロソフトは40~50人しか社員がいない会社だった。ニューメキシコ州からシアトルに移ってきたばかりで、全員がロン毛のヒッピーばかり。

誰もがそんな会社がIBMに対抗できるわけないと考えたが、マイクロソフトは基本ソフト(OS)にひたすら集中することで戦った。いろいろな事業や課題を抱えていなかったぶん、本業に集中できたおかげでIBMを負かすことができた。

そこから20年。マイクロソフトは今や世界屈指のパワフルかつ大きな企業となった。そこに今度は、検索に特化した企業が誕生した。OSで圧倒的なシェアを持つマイクロソフトが巨額を投資して潰そうとしたが、結局この戦いに勝ったのはグーグルだった。SNSでも同じことが起こり、フェイスブックがグーグルを陵駕している。

ここから言えるのは――つねにそうとは言えないが――小さな企業でも1つの事業に集中していて、顧客からの支持を得ているのであれば、それは大企業に対する強みになるということだ。マイクロソフト、グーグル、フェイスブック……すべての例に共通しているのは、早いペースで動けたということだ。

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カーリング人気萌芽の時代から、平昌五輪での銅メダル獲得まで戦い抜いてきた著者。リーダーとして代表チームを率いつつ、人生の一部としてカーリングを楽しめるにまで至った軌跡や、ママさんカーラーとして子育てで得た学びなどを語る。