一方、札幌支店の短観は、札幌、函館、釧路支店、そして旭川事務所が管轄している全道ベースの計数が公表されているほか、エリア別の業況判断D.I.(全産業)が参考資料として公表されている。
ここでは、全道ベースの資料を確認しよう。回収率は99.8%と、前回の99.6%とほぼ同様。調査対象企業469社のうち468社が回答しており、回答が得られなかった企業は1社だけである。
全産業の業況判断D.I.は9ポイントで前回から2ポイント悪化しているが、地震後の報道などから受けた印象と比較すると、思いのほか悪くないように見える。もっとも、北海道については、先行き8ポイントの悪化を見込んでおり、全国の3ポイント悪化よりも慎重なスタンスとなっている。
景況感は足元、先行きとも悪化
業種別に見ると、大阪支店同様、宿泊・飲食サービスへの災害の影響が懸念される。前回6月調査からの業況判断D.I.の動きを見ると、6月調査時点では足元22ポイント、先行き33ポイントと改善を見込んでいたが、今回の9月調査では足元の業況判断D.I.は12ポイントであり、10ポイント悪化した。6月調査時点での先行き33ポイントと比較すると21ポイントの悪化である。また、先行きは0ポイントと今回からさらに12ポイントの悪化を見込んでいる。
札幌支店が公表している金融経済概況に、「観光については、悪化している。地震の発生以降、風評被害により観光客の入込みは大幅に減少している」とある。風評被害は実際に起きているのだろうが、北海道の観光回復には、何よりも電力供給の安定が欠かせない。
北海道電力のホームページには、トップに赤い文字で「【節電のお願い】」や「無理のない範囲での節電をお願いいたします。」との記載がある。北海道エリアの「でんき予報」ページを見ると、これから寒さが本格化し、電力需要が伸びるなかで、観光客が軽々に北海道旅行を楽しんでいいものか、判断がつきかねる部分も大きい。
短観は資本金2000万円以上の民間企業を対象としており、財務余力の少ない零細企業や個人事業主の業況とは異なる点も多い。被災地の1日も早い復興、そして何よりも北海道の冬が本格化する前に電力供給の安定が望まれる。
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