日銀が物価の決まり方は「わからない」と白旗 「わからない」からこそ金融緩和はエンドレス

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日銀は物価がなぜ上がらないのかはわからないままに金融緩和を続けている(撮影:大澤誠)

日本銀行は「経済・物価情勢の展望(2018年7月)」(いわゆる展望レポート)の付属資料として7月31日に「賃金・物価に関する分析資料」を公表した。

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分析資料は7つのトピック によって構成されており、4月展望レポートで物価目標2%の達成時期が「撤廃」されてから、市場が注目している日銀が考える物価上昇のタイミングに関する分析は、(資料1)「最近の労働供給の増加と賃金動向」と(資料4)「企業による生産性向上に向けた最近の取り組み」を中心に行われた。

決定係数が示されていない散布図

「女性と高齢者の労働供給の影響」を分析した資料1では、「都道府県別のデータを用いて、人口に占める女性および高齢者労働者数の割合と現金給与総額の関係をみると、明確な負の関係がある」とし、両者の関係を「日本銀行スタッフが算出」した散布図が示された。

具体的な推計方法は不明だが、筆者には「明確な負の関係」があるようには見えなかった。しかも、この散布図に決定係数は示されていない。

そこで、同様の推計を筆者が行ったところ、現金給与総額の変化率に対する女性の労働参加の決定係数(どのくらい説明できるかの度合いを示す)は0.21、高齢者の決定係数は0.06にとどまった(図2点)。

決定係数は0.2~0.4の水準で「やや相関がある」と言える程度であり、統計的に「明確な負の関係」があるというのにはやや苦しい。

むろん、まったく同じ方法で推計したわけではないため断言はできないが、日銀の分析結果も大差はなさそうだ。分かりやすさを重視して分析されたという面もあるとみられるが、これでは「物価の決定要因はこの面についてはよくわからない」と言っているのにほぼ等しい。

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