安倍政権、「日銀と政府」の危なすぎる関係 インフレが実現したら、政策転換できるのか
2018年4月9日、日本銀行の黒田東彦総裁の2期目がスタートする。
黒田総裁は1期目に「黒田バズーカ」とも呼ばれる大規模な緩和策を実施した。海外経済の好調もあり、景気拡大は続いている。一方で、肝心の物価上昇率は2018年2月にやっと1%(生鮮食品除く総合)に到達。就任時に掲げた「2年で2%の目標達成」は実現されず、先送りされ続けて、2%まではまだ距離がある。
しかし、安倍政権は黒田総裁続投の選択をした。副総裁にも中曽宏氏の後任に同じく日銀理事出身の雨宮正佳氏、岩田規久男氏の後任に同じくリフレ派の若田部昌澄氏を任命した。この人事について東短リサーチの加藤出社長は「物価上昇率はいいから、現在の緩和を継続してほしいというメッセージ」と語る。
政府からすれば、低金利環境で国債の利払い費が抑えられていることは都合がいいのだろう。日銀が緩和策を続ける中、安倍政権はその恩恵を享受しているが、これに甘えて政府の役割である財政再建を2度も先送りしている。日銀は安倍政権に都合よく扱われ、独立性が損なわれているという見方もある。
独立性をめぐり総裁と若田部氏の見解に違い
日銀の独立性に関して、3月に副総裁に就任した若田部副総裁は3月7日の参議院における所信聴取で「目標について独立性を持っているのではない」と発言している。一方黒田総裁は9日の定例記者会見で「具体的目標についても独立性を持っている」と発言した。政策委員会で独立性に対する見解は割れている。はたして現在の日銀には独立性があるといえるだろうか。
日銀の独立性は、20年前の1998年4月、新日銀法で規定された。「日銀法改正の最大の眼目は中央銀行としての『独立性』を法制度としても明確にすることでした」。日銀のホームページにもそう記されている。改正のきっかけはバブルを起こしてしまったことへの反省だ。歴史的に見ても、中央銀行の政策には政府からのインフレ的経済運営の圧力がかかりやすい。そこで中央銀行の独立性を高め、物価の安定を通じた経済の持続的成長を目指すというのが日銀法改正の趣旨だ。
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