日銀、2%の達成時期をついに「削除」した理由 1期目は自縄自縛、2期目は微調整へ?
日本銀行の黒田東彦総裁の2期目は思わぬ形の幕開けとなった。
4月27日の金融政策決定会合では初回から新たな動きがあった。現在の緩和策の維持を決定したものの、公表された「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」からは、これまで「2019年度頃になる可能性が高い」とされていた物価目標の達成時期の記述が削除されたのだ。
日銀は2013年4月4日の黒田体制1期目の初回会合で「量的・質的金融緩和」を導入するとともに、物価安定目標の2%(消費者物価の前年比上昇率2%)を「2年」を念頭にできるだけ早期に達成するとした。当時副総裁に就任した岩田規久男氏は所信聴取で、「2年で物価目標を達成できなかった場合、辞職をする」といった旨の発言をしている。結果的に辞職はしなかったものの、2年という時期に対する日銀側の強い意志がうかがえた。
しかし、2年での達成はできず、その後、達成時期は6度も延長され、直近では2017年7月に「2019年度頃」とし、それを維持していた。黒田体制1期目は目標達成時期の延長と並行して、国債などの購入による資金供給の規模拡大やマイナス金利、イールドカーブ・コントロールといった追加の金融緩和策を次々に投じてきた。
時期示せば延長は必至だが、追加緩和は避けたい
黒田総裁は会見で、目標達成時期の削除の理由について「見通しの変化と政策変更を機械的に結びつけているわけではない。達成期限ではなく見通しであると示すため」とした。しかし、記者からは「追加緩和期待を牽制する意図か」、「7度目の先送りを避けるために削除したのではないか」など厳しい質問が浴びせられた。
2期目の5年間を見ると、2019年10月には、税率を10%に引き上げる消費増税が計画され、景気には下押し圧力が加わる。2020年のオリンピックに向けた特需も剥落していく。FRB(米国連邦準備制度理事会)は利上げを進め、ECB(欧州中央銀行)も緩和の縮小を開始しており、1期目の5年間と比較すると世界の経済環境は次第に厳しいものになることは間違いない。
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