日銀は「出口戦略」をコッソリと始めている 木内登英・前日銀審議委員が分析
2017年に政策変更がなかったわけ
2017年の1年間、日本銀行は政策変更をまったく実施しなかった。これは2013年4月に量的・質的金融緩和が導入されて以降、初めてのことだ。
物価上昇率が高まらないなかでも、以前のように追加緩和が実施されなかったのは、政策の基本姿勢がすでに変わっていたからだろう。
そのきっかけとなったのは、実は2016年1月のマイナス金利政策の導入だ。
マイナス金利は、物価上昇率2%に向けて勢いをつけるための、いわば起死回生策だった。しかしこの政策は日銀の予想を裏切って、円高、株安といった悪い反応を引き起こした。
マイナス金利という不意打ちを食らった金融機関からは、日銀を強く批判する声が上がった。一般国民にも「どうしてそこまでやるのか? 日本経済はそれほど深刻なのか?」と、日銀にとって予想外の不信感を抱かせてしまうことになった。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら