ランク付けの人事評価が時代遅れすぎる理由

米国の一流企業が続々導入する新制度の本質

そのほかでは、従来型のランク付けによる評価は、「間違えられない、失敗できない」という不安を助長するという研究結果も得られている。評価を大きく下げないために、評価期間を問題なく過ごすことを暗に志向する。その結果、社員の「ヤラされ感」が強くなり、モチベーションが上がらない。

さらに、期末の評価を伝えられるときに、足りない点を指摘されても、「今さらですか? そう思っているなら日ごろから言ってください」となることもある。これだと、日々の成長に向けたPDCAサイクルを回すことができず、継続的にパフォーマンスを上げていくこととは程遠い。

これらの構造を打開するべく、「年次評価におけるランク付けを行わず、コミュニケーションを頻繁に取り、マネージャーの裁量で給与額を決定することで、継続的なメンバーのパフォーマンス発揮と成長につなげるというスタイル」がノーレイティングなのだ。実際に、社員の組織への貢献意欲が大きく向上したり、離職率が前年と比較して30%以上減ったりするような例も多くみられている。

押さえるべきポイントは3つ

では、どうやってそのノーレイティング制度を機能させるのかと思った読者の方もいるだろう。筆者が数多くのクライアント企業の事例を見ていると、少なくとも、最低限抑えるべきポイントは3つある。

1つ目は、上司と部下が質の高い1対1のミーティング、「1on1」を行うこと。「評価の日常化」ともいえる。

勘違いしていただきたくないのは、ノーレイティングは評価をまったくしないということではない。「期末の一律評価」ではなく、「日常の仕事の中で評価」を行う。上長と部下が週1回から隔週に1回程度で個別に時間を取り、仕事の進捗に応じて都度目標を設定し、業務成果に対して頻繁に評価しフィードバックをして成長につなげていく。

1on1のデメリットとしては、上長や管理職のマネジメント負担が増加することだ。たとえば、ノーレイティングを導入したある大手メーカーではまったく機能しなかった。理由は単純だ。従来型の肩書に依存したマネジメント層(要はマネジメントしていないおじさんたち)では力不足だったのだ。

部下のありたい姿や成長に向けた課題を引き出し、業務と結びつけ、成果を評価し、適切にフィードバックできる力が求められる。今までそうしたマネジメントをしてこなかった上長は、相当のトレーニングをしないと機能しないのだ。もっとも、マネジメント力がなくても上長でいられたこと自体がそもそも問題なのだが。

日本企業では、マネージャー陣が忙しくてそんなに面談をする時間がないという声も多い。そもそもマネージャーが、マネジメントではなく、プレイヤーの役割が多すぎるという構造もある。そうすると彼らの役割はいったい何なのかということを改めて定めることも重要になってくるのだ。

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