“トレラン”という言葉を聞いたことがあるだろうか。トレランは「トレイルランニング」の略語で、トレイルとは、登山道(ハイキング道)、林道、古道など路面舗装されていない自然歩道のこと。つまり、トレランとは「登山」と「ランニング」を組み合わせたものだ。もともと欧米では人気のあるスポーツで、日本でも10年ほど前から徐々に人気が高まっている。
その魅力は、「気持ちイイ」を実感できる要素が凝縮されていることだ。落ち葉でふわふわのトレイル、自然の中を進む心地よさ、山頂からの絶景。もちろん、平地と比べると山岳コースはキツい。しかし、“普通”のランニングに満足できなくなったランナーたちが、週末になると山々に出掛けていき、トレランの“快感”を満喫している。
トレランの人気を察知した各スポーツメーカーは、専用シューズや、チューブを使って給水できるリュック型のハイドレーションシステムなど、トレラン用のギアを発売。また、トレイルを舞台にした山岳レースの数も増えてきている。
富士山周辺の山岳地帯を48時間以内でグルッと1周する総距離156kmの「UTMF」や、富山湾から駿河湾まで420kmを8日以内で駆け抜ける「トランス・ジャパン・アルプス・レース」のような本格的な山岳レースもあれば、10km以下のショートレースもある。さすがに、数日間にも及ぶロングトレイルは、一部のマニアックな人たちの楽しみ方かもしれないが、「トレイルレース」はランナーだけでなく、過疎化が進む地方自治体からも熱い視線が注がれている。
”コンテンツ”として、地方が注目
10年ほど前は、ハセツネ(長谷川恒夫)カップ日本山岳耐久レース、富士登山競走などわずかしかなかった山岳レースだが、今年度は日本各地で110以上のレースが開催されている。これはトレラン人気の影響が大きいと同時に、地方自治体が積極的に山岳レースを推し進めようとしている側面もある。なぜなら、日本は“山”が多い国だからだ。
小学生の頃、社会科の授業で習ったと思う。日本の国土は約70%が山岳地帯。2万5000分の1の地図に載っているだけでも、1万6000以上もの山が確認できる。東京都ですら、「日本百名山」に選ばれている雲取山のような標高2000m級の山があるほどだ。
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