大会としての収支も黒字を計上
「完走率が低いので、大会当日だけでなく、事前の練習でも来ていただければと思っています。また、レースに出場するのはお父さんだけでも、奥さんやお子さんには川などで遊んで、温泉や買い物なども楽しんでもらう。レースによる波及効果を狙っています」と諏訪本さん。そのもくろみどおりに、今年は延べ約400人がコースを試走するために大会前にも道志村を訪れている。
大会参加者には道志村観光のリピートを狙って、8月末まで使用できる日帰り温泉のサービス券を配布。第3回大会からは、道志村観光協会登録宿舎に前泊するランナーに、1000円をキャッシュバックするサービスも開始した。今年の第5回大会では328人がレース前に宿泊したという。
大会としての収支は、多くの村民ボランティアに支えられていることもあり、今年度は100万円ちょっとの黒字を計上。自治体の収入としては多くはないが、「道志村の観光アピールには成功していると思います」と諏訪本さんは話す。最近は近隣の市町村からトレイルレースについて聞かれることも多く、同じように山岳レースを開始する自治体も出てきた。
人口1800人の村に、1日で1000人近くのランナー(と家族など)が来れば、その経済効果は小さくないだろう。道志村トレイルレースは、スタート地点へのアクセスがよくないため、交通面での改善など課題はまだまだある。しかし、トレイルランナーの中で「道志村」というワードは浸透しつつある。山梨県にある過疎地の試みは“小さな成功例”なのかもしれない。
ただし、道志村トレイルレースが将来的にキラーコンテンツとして熟成するかは、今後の努力次第だろう。トレイルランナーが増えていることは確かだが、山岳レースも急増している。いかに多くの参加者を呼び込むことができるのか。今後は大会主催者同士の“サバイバルレース”になる可能性もある。トレランが過疎地を救うのか。これからの展開にも注目したい。
【道志村トレイルレース】http://www.k-y-trail.com/doushi/
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