今年のアーモンドアイは桜花賞へのステップに3月のトライアルではなく1月に牡馬相手のGⅢシンザン記念を選択して楽勝し、3カ月の休養を経てぶっつけ本番で桜花賞に向かった。
3冠がかかる秋華賞へはトライアルどころか秋に出走することなくオークスからぶっつけ本番で臨むのだ。
「常識破りのローテーション」と言われるのも当然と言っていい。だからこそ注目度も大きい。
アーモンドアイのローテーションは近年の変化の象徴
夏休みを過ごすアーモンドアイを取材してきたのは8月23日。放牧先でもある福島県天栄村にあるノーザンファーム天栄に同馬を管理する国枝栄調教師(63歳)とともに訪れる機会を得た。5月20日のオークスを快勝後、25日に天栄に入った。
ノーザンファーム天栄の木實谷雄太場長(38歳)は「オークスは時計も速く激しい競馬だった。見た目には何ともなかったが、目に見えない疲れが心配だった。
経験則でしか言えないが、春に厳しい競馬をしてきた馬は、夏の終わりや秋口に故障することがある。国枝先生とも話し合って比較的早い時期に秋華賞に直行することを決めたのでじっくり調整できた」と振り返る。
天栄入りから2週間程度はウオーキングマシンやトレッドミルの運動にとどめて疲れを取ることに専念した。7月に入って坂路で乗り込みを開始。週に2回はしっかり乗ってきた。この日も坂路を軽快に駆け上がり3F(600m)42秒1、ラスト1F(200m)13秒6をマークした。
国枝調教師も「余裕があるから楽。いい動きだったね」と目を細めた。「体はしっかりしたし大きくなって幅も出た。いい意味で前向きだが、それでもゆったりキャンター(駈け足で馬の歩き方の1つ)できるようになって落ち着きも出た。前半ゆっくり出て、しまいを強調するような調整をしている。心身ともに成長している」と木實谷場長。
春は450から460キロだったがこのころは480キロ。木實谷場長は「競馬では470キロ前後で出走できると思う」と語った。国枝調教師は「任せてあるからね。順調に来ている」と悠然と構える。国枝調教師と木實谷場長は東京農工大の先輩後輩の間柄でもある。普段から密に連絡を取り合っているのはもちろんだが、二人の間には絶大な信頼関係がある。
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