10月1日にフランスで凱旋門賞の大一番に挑むサトノダイヤモンドが、中央競馬で所属するのは栗東(滋賀県)の池江泰寿厩舎。現在は凱旋門賞へ向けてフランスのシャンティイ調教場に移動し、現地で開業する小林智厩舎で調整されている。
あす10日には、同じくフランスで行われる前哨戦のフォワ賞に出走する予定で、順調に滑り出したいところだ。
この「厩舎」を運営し、所属する競走馬を管理するのが「調教師」である。競馬に携わる人の中でも「騎手」は競走馬に騎乗する人で、競馬になじみがない人でも比較的わかりやすい。ところが「調教師」というのは、いったい、どんな人がなって、どんな仕事をしているのかがわかりにくい。今回は中央競馬の調教師について述べてみたい。
「調教師」は、何を仕事にしているのか
調教師の仕事を簡単に説明すると、競馬に使われる競走馬を馬主から預かり、育成と訓練をしてレースに出走させるということになる。厩舎を自ら経営し、調教師や調教助手を雇用して競走馬を出走させながら、賞金と馬主からの預託料で運営していく。
ただ、馬を鍛錬し調整するトレーナーということだけでなく、預けてくれる馬主を探したり、騎乗してくれる騎手を確保したり、出走するレースを決めたりと、競馬をマネジメントする大きな役割もある。
筆者が取材活動を始めた当初、調教師は怖い存在だった。調教師は現場では「テキ」と呼ばれる。騎手の逆の「手騎」から「テキ」となったという説と、ステッキを持っていたから「テキ」になったという説がある。われわれは調教師を「先生」と呼ぶが、名門と呼ばれた厩舎の調教師は威厳があった。われわれにはあまり本音を話さないような職人気質の方も多かった。
ところが、今は営業マンのような調教師が増えた。マスコミ対応も仕事のうちでソツがない。分業化も進み、チームとして戦う要素が強くなった。「トレーナー」の側面よりも、経営者でありマネジメント能力が問われるようになった印象がある。
競馬ファンのカーレーサーが面白い例えをしてくれた。競馬の厩舎とレーシングチームは似ているというのだ。
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