そして、調教師は火曜日も月曜日と同様に過ごすことが多いという。この間に管理馬の出走レースを決めたり、調整メニューを考えたり、出走させる馬の騎乗者を手配したりと、やらなければならないことはたくさんある。馬の状態を把握し、いい状態でレースに送り出すこと。故障につながるような異常を早めに発見して未然に防ぐこと。難しいことを当たり前にこなさなければならないのだ。
ファンが想像するほど儲かるわけではない
馬主にいい馬を買ってもらい、厩舎に預けてもらうために、馬主を生産牧場や競走馬のセールに案内することも大切な仕事だ。いい馬を仕入れなければ成績は上がらない。そうした努力も必要になる。ある調教師はこう述懐した。「決して楽ではないし、皆さんが思っているほど儲かるというものでもない。競争も激しいし少し成績がよかったからといって安心もできない。馬に対しての熱意がなければできない仕事だと思う」。これは本音だろう。
生き物相手とはいえ、調教師の生活に休みと呼べる日はなかなかないというのが実情だ。以前よりもはるかに大変な仕事になったというのが取材するわれわれの実感でもある。トレセンの厩舎だけで戦うのではなく、そこを含めたより大きなチームで戦う時代になった。すべてを1人で把握して指揮することも難しい。それぞれの分野で信頼できるスタッフが必要な時代に変わった。
それでも調教師として管理馬が大きなレースを勝てば名誉と大きな充実感を得ることができる。それを目標に日々の努力を続けている。
今は海外遠征も当たり前の時代になった。日本のGⅠだけでなく世界のビッグレースを制するチャンスもあり、夢が広がっている。現代の調教師たちは、世界の頂点に立つ夢を抱き、競馬に真摯に向き合っている。調教師をはじめとする厩舎のスタッフの努力を思い浮かべながらレースを見てみると、競馬に携わる人たちの熱い思いが理解できるかもしれない。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら