凱旋門賞の「呪縛」を日本競馬が打破する方法 サトノダイヤモンド15着惨敗から見えたもの

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フランスのシャンティイ競馬場で開催された2017年の凱旋門賞。悲願の優勝を懸けて出走した日本馬のサトノダイヤモンド(左)は15着、サトノノブレス(右)は16着に沈んだ(写真:共同通信社)

日本競馬界の悲願達成はまたしても来年以降に持ち越しとなった。

フランスのGⅠ第96回凱旋門賞(2400m芝)は10月1日(日本時間10月1日午後11時5分)、シャンティイ競馬場で18頭が出走して行われ、日本から参戦したクリストフ・ルメール騎手騎乗のサトノダイヤモンド(牡4、栗東・池江)は中団に付けたが直線伸びを欠いて15着に敗れた。今回の遠征に帯同した川田将雅騎手騎乗のサトノノブレス(牡7、栗東・池江泰寿厩舎)も伸び切れず16着。1969年のスピードシンボリから48年で延べ22頭目の挑戦となったが、欧州勢の厚い壁にハネ返された。

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勝ったのはブックメーカーで断然の人気となっていたランフランコ・デットーリ騎手騎乗のイギリス馬エネイブル(牝3)が直線鮮やかに抜け出し2分28秒69のタイムでGⅠ5勝目を挙げた。これでGⅠ5連勝。

ここまでGⅠ4連勝で合計20馬身差をつける圧倒的な強さを見せてきたが、今回も圧巻の強さを見せた。3歳牝馬は昨年まで負担重量が54.5キロで、59キロの4歳以上の牡馬とは5キロ差があり有利と言われていた。今年から3歳牝馬は55キロになり斤量差は4.5キロになったが、そういう次元ではなかった。

2013年と14年に連覇したトレヴに続く歴史的名牝誕生の瞬間をわれわれは目撃したことになる。それにしてもデットーリ騎手はさすがの騎乗だった。昨年上位3頭を独占したアイルランドのオブライエン厩舎が包囲網を敷く形だったが、抜群のスタートを決めると巧みに外に持ち出し馬群でもまれることを避けた。エスコートは完璧だった。2着はフランス馬クロスオブスターズ、3着はイギリス馬ユリシーズだった。

日本競馬界の「悲願」となっている凱旋門賞での勝利

日本馬は過去、凱旋門賞で2着が4回。ロンシャン競馬場の改修工事のため昨年、今年とシャンティイ競馬場での開催となった。シャンティイはロンシャンよりも高速決着で日本馬には有利といわれていた。

昨年がマカヒキ、今年がサトノダイヤモンドで奇しくもハイレベルの高速決着だった昨年の日本ダービーの1、2着馬が挑んだが、結果は出なかった。高速馬場と言ってもシャンティイの芝は日本の芝よりもはるかにパワーが必要で、この時期の気候ではなかなか良馬場が望めないという。今年はフォワ賞も凱旋門賞も道悪だった。

跳びがきれいなサトノダイヤモンドは思ったよりシャンティイの馬場に適性がなかったということだろうか。ルメール騎手は中団の外を追走。思いどおりのポジションが取れたはずだが、直線ではほぼ抵抗できずに馬群に沈んだ。池江師もルメール騎手も馬場を敗因に挙げた。とはいえ昨年のマカヒキに続く惨敗は衝撃的だった。

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