凱旋門賞の「呪縛」を日本競馬が打破する方法 サトノダイヤモンド15着惨敗から見えたもの

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しかし、日本馬は本番と同じコース・距離で行われる4歳上のフォワ賞や3歳限定のニエル賞をステップにし、挑んでいるが、残念ながら結果は出ていない。フォワ賞は日本馬が3勝、ニエル賞は日本馬が2勝している。凱旋門賞は昨年までの過去10年間でアイルランドのチャンピオンSから臨んだ馬が4勝、フォワ賞やニエル賞と同じ日に開催される牝馬のGⅠヴェルメイユ賞組が4勝と好成績を挙げている。かつては重要な前哨戦といわれたフォワ賞・ニエル賞組は過去10年で1勝もしていない。

凱旋門賞が通常開催されているロンシャン競馬場のコースは最後の直線の手前に「フォルスストレート」と呼ばれる長い直線部分があるトリッキーなコースで、本番前にコースを経験したいという側面があるのは確かだが、欧州馬も良績を残していないのだから、少なくともこのローテーションが有効とはいえない。

欧州馬はタフな馬場で春からGⅠを使われてきた馬が凱旋門賞でも好走している。軽い馬場の瞬発力勝負に慣れている日本馬はやはり根本的な部分で欧州の中長距離を戦うのには何かが不足していると考えたくなる。

今の国内の日程だと、どのレースで使うかのローテーションも難しい。6月末の宝塚記念を使うと暑さで消耗する可能性がある。8月に洋芝の札幌で行われる札幌記念はステップとして有効だろうが、1914年に札幌記念をステップに挑戦したハープスターとゴールドシップは結果を出せなかった。

やはり、国内では中長距離志向の馬だと天皇賞・春から上半期の締めくくりとなる宝塚記念までGⅠがないということが調整を難しくしているのではないか。

フランス以外の前哨戦を選ぶ手もある

サトノダイヤモンドは暑さの中の宝塚記念を回避し、天皇賞・春からじっくり間隔を開けたが、結果的にフォワ賞は4カ月半の休み明けになった。

今後は凱旋門賞まで中2週になるフォワ賞やニエル賞より愛(アイルランド)チャンピオンステークスなど、ほかのGⅠをステップにする馬がいてもいい。

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