昨年の凱旋門賞はファンにとっても歴史的レースだった。海外競馬の国内発売が実現したからだ。海外のオッズと連動せず、日本国内独自のオッズとなる独立プール方式で馬券が発売された。当たり前のように日本馬が海外へ挑戦する時代となり、ファンが海外競馬の馬券を買って日本馬を応援したいという流れも当然だった。それがついに実現したレースだった。
昨年の売り上げは41億8599万5100円。ネット投票限定だけに同じネット投票限定のWIN5などの売り上げを参考に、当初はJRA内部でも凱旋門賞に関して10億~20億円の売り上げを期待していたが、予想をはるかに上回る驚異的な数字を記録した。
待望久しい海外競馬の国内発売、マカヒキの歴史的快挙を期待するファンの熱気がこの売り上げにつながったのだろう。単勝の売り上げは日本国内ではマカヒキが1番人気で2.8倍。ポストポンドが2.9倍。勝ったファウンドは7.8倍で3番人気。ファンの応援する思いを反映しつつも、妥当なオッズという印象だった。
日本のファンに定着した海外競馬の楽しみ
注目の今年の売り上げは34億4333万6600円。昨年には及ばず17.7%減となった。だが、同じ海外競馬の国内発売では昨年の香港国際競走4レースの合計が38億2070万6800円、日本時間では未明の発走となった今年のドバイ国際競走3レースの合計が25億8107万0500円だから、海外競馬の1レースの売り上げとしてはやはり驚異的だろう。
9月24日に行われた阪神のGⅡ神戸新聞杯は56億4703万4000円、中山のGⅡオールカマーは46億1617万1800円でこれらはもちろんネット投票だけでなく競馬場やウインズでの現金による投票も含まれている。同じネット投票限定の9月24日のWIN5は5億7079万8800円なのだから、海外競馬の国内発売は確実にファンに定着しているといえる。
当初は日本の競馬のように馬券購入対象の馬番とゲート番が一緒でないためにファンが戸惑うのではないか、あるいは競馬マスコミが国内競馬のようにきめ細かい情報を提供できないためにファンが不満に感じるのではないかなど不安視する見方があったが、あらためて日本の競馬ファンは成熟しているというのが率直な印象である。
インターネットの時代になり、ユーチューブなどで海外競馬の映像も比較的簡単に見ることができる。国内の競馬とは違って出走馬も直前まで完全には把握できないという状況にもすっかり慣れた。1年が経過してスポーツ紙の事前報道も充実した。日本の競馬ファンはやはり世界一のレベルだろう。
海外競馬の国内発売も2年目を迎えて完全に定着し、日本馬が参戦してもやみくもに応援するのではなく、海外競馬を系統立てて見ながら、しっかりと予想もレースも楽しんでいる。今年の凱旋門賞の国内のオッズはエネイブルが1.8倍の1番人気で、サトノダイヤモンドは6.1倍の2番人気。単勝はサトノダイヤモンドの応援馬券を買う人が多かったが、馬連では2頭の組み合わせの馬券は11.9倍で4番人気。ファンは冷静に見ていた。
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