凱旋門賞の「呪縛」を日本競馬が打破する方法 サトノダイヤモンド15着惨敗から見えたもの

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日本の競馬関係者にとって凱旋門賞は特別なものになっている。1999年に4頭目の挑戦だったエルコンドルパサーがモンジューとのマッチレースで2着惜敗。スピードシンボリの初挑戦から30年を経て頂点に手が届きかけた。しかし、誰もが勝てると信じて臨んだ2006年ディープインパクトは3位入線後に失格。2010年ナカヤマフェスタは大健闘の2着だった。

2011年の3冠馬オルフェーヴルは満を持して2012年に挑戦。前哨戦のフォワ賞を制して大きな期待を集めた。直線で豪快に抜け出し九分九厘勝った、と思われたが、そこから直線内にもたれてゴール前で差されて悪夢の2着。2013年は再び挑んだオルフェーヴルが名牝トレヴに屈して2着、ニエル賞を勝って臨んだ同年のダービー馬キズナが4着だった。

2014年は3歳牝馬ハープスターが猛然と追い込んだが6着、同年の世界ランク1位に輝いたジャスタウェイは8着、ゴールドシップは14着。エルコンドルパサー以降は毎年のように国内の実力馬が挑んだが敗れ続けた。

凱旋門賞の歴史で欧州調教馬以外が勝ったことはない。今回も欧州調教馬以外の参戦は日本勢の2頭だけ。米国馬も香港馬もドバイ馬も豪州馬も近年は参戦すらしていない。

「欧州vs日本」の図式となっている凱旋門賞

凱旋門賞は実は欧州馬と日本馬の争いという図式がここ20年は続いているのだ。世界の競馬はスピード化し、欧州の競馬もキングジョージから凱旋門賞という2400mの路線が最強馬を決めるという単純な図式ではなく、2000mの英・チャンピオンステークスも最強馬を決める舞台になっている。近年、フランケルという無敗(14戦14勝)の怪物も現れ、1600mで圧倒的な強さを見せた。それでも欧州の芝の競馬を模範として発展してきた日本の競馬で関係者が目指したレースは凱旋門賞だった。そして、そこにこだわり続けている。

かつてエルコンドルパサーは欧州に長期滞在して凱旋門賞に挑んだ。長期間調整することで走りも欧州の馬のようにパワフルになった。そして、あと一歩という結果を出した。

しかし、今は直前に欧州入りしてステップレース(前哨戦)を使ってから凱旋門賞に挑むというケースが多くなった。もちろん輸送も経験が蓄積しノウハウができあがってきたことも大きい。さらに、国内の施設で仕上げてから向かうほうが仕上げやすくて力を出せるという判断もある。

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