「武豊とオジュウ」が福島競馬場に残した軌跡 豪華共演で見せた圧勝劇は次の100年の布石

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夏の福島競馬場でオジュウチョウサンに騎乗した武豊騎手(写真:筆者提供)

6月28日に開設100周年を迎えた日本中央競馬会(JRA)福島競馬場は、記念すべき節目の開催となった夏の福島競馬を7月22日に盛況のうちに終えた。8日の七夕賞は1万8423人の入場者を記録。

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前回記した1993年(平成5年)の七夕賞の時のような4万7391人の入場者レコードには及ばなかったが、今夏最高の入りを記録した。

レースを開催した計8日間の入場者総数は10万2882人。東日本大震災後に福島競馬の開催が復活した2012年以降では初めて10万人の大台を超えた。

夏の福島競馬の開催リーディングジョッキーは二本松市出身の田辺裕信騎手が11勝で首位。最終日は中京競馬場で騎乗したために表彰式には不在だったが、ターフビジョンに田辺騎手がリーディングジョッキーと紹介されると地元のファンが大きく沸いた。

意外にも田辺騎手の地元福島でのリーディングは春、夏、秋を通じて初めて。「100周年の節目に地元で初めてリーディングを取れてうれしい」とコメントを寄せた。

昨年は初日に落馬負傷しただけに今年は開催8日間のうち6日間の騎乗とはいえ無事に騎乗して結果を残してくれたことは何よりだった。福島最終日の22日に中京記念をグレーターロンドンで制してリーディングに花を添えた。

とはいえ、100周年の今夏の福島競馬のハイライトは七夕賞でもラジオNIKKEI賞でも田辺騎手のリーディングでもなかった。

7月7日。われわれは福島競馬場で新たな伝説になるようなレースを目撃した。

9レースの開成山特別は本来なら3歳上500万下の芝2600mでよくある特別レースである。これが福島競馬場の土曜日の競馬にGⅠ並みの盛り上がりをもたらし、全国の競馬ファンを熱狂させた。

障害最強馬オジュウチョウサンとスーパージョッキー武豊騎手との夢のコンビが実現したからだ。午後2時35分の発走時刻をめがけて朝から土曜日とは思えないような出足でファンが詰め掛けた。

次の100年の歴史に残る「狂騒曲」

この日の入場者1万4247人は東日本大震災後の開催復活初日となった2012年4月7日の1万3198人と、武豊騎手の参戦で盛り上がった同年4月21日の1万3507人を上回り、震災後の土曜日では初めて1万4千人台を突破する最高の入りとなった。

100周年を迎えた福島競馬場の新たな歴史に残る「武豊・オジュウチョウサン狂騒曲」を振り返る。

土曜日としては異例ともいえるファンの多さだった(写真:筆者提供)

オジュウチョウサンは牡7歳で美浦・和田正一郎厩舎所属。

2歳秋にデビューし平地2戦を勝てず、1年休養し3戦目から障害に転向。

4歳になって障害4戦目に初勝利を挙げてオープンも連勝したが、まだこの当時は目立つ存在ではなかった。5歳春に障害馬としての素質が開花。

JGⅠ中山グランドジャンプを制してから快進撃が始まった。重賞9連勝はJRA新記録。JGⅠ出走機会5連勝もJRA記録だ。

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