「武豊とオジュウ」が福島競馬場に残した軌跡 豪華共演で見せた圧勝劇は次の100年の布石

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かつて中山大障害を5勝したバローネターフが1979年の天皇賞・秋に出走して11着になったり、中山大障害3勝のポレールが1997年天皇賞・春で12着になっている。

近年ではメルシーエイタイムやアポロマーベリックが障害のステップに500万下に出走したこともあった。それでもオジュウチョウサンのような障害の強豪が本気で平地に挑むこと自体が過去に例を見ない初めてのケースだった。

武豊騎手がオジュウチョウサンに乗るという衝撃

5月中旬に東京競馬場でGⅠに騎乗した武豊騎手と話した。福島競馬場開設100周年の節目の夏開催に騎乗する予定があるかを聞くためだった。「福島、乗りに行くよ」と笑顔で答えた武豊騎手。

武豊騎手の参戦は何より福島競馬を盛り上げてくれる。朗報に一安心し「七夕賞? ラジオNIKKEI賞?」と尋ねると、「いや、土曜日」という予想外の返答に戸惑った。

「え、新馬ですか?」というと、「まだ馬は言えない。でも、面白いことになるよ」とニヤリと笑った。そこから裏を取ると「オジュウチョウサンに乗る」という衝撃的なニュースにぶつかった。

筆者は身震いした。すごい話だった。紙面で報じると福島は騒然となった。「本当ですか?」「福島に来るんですか?」と誰からも聞かれた。

ネット上で情報は拡散した。以降、さまざまなところで武豊騎手とオジュウチョウサンのコンビによる平地挑戦が報じられた。

当初、思ったよりも頭数が増えそうで出走が心配されたが、特別登録時点でフルゲートに満たず、出走は可能となった。スポーツ紙や競馬雑誌では連載や特集が組まれた。

勝算はあるのか、無謀な挑戦なのか。オジュウチョウサンに騎乗したことのある騎手には感触を聞く質問が集中した。陸上のハードルで活躍した為末大さんが応援メッセージを送る記事もあった。ファンも期待と不安が入り交じった。

評価は真っ二つに分かれた。ファンだけではない。競馬関係者も注目した。ある調教師は「今年の競馬で最も見たいレース。こんなに夢がある面白い挑戦はない。ワクワクするね」と語った。

障害レースのペースと平地のペースは違う。いかに500万下の長距離戦でも障害よりは速い。平地のペースに対応できるのか。それが最大の焦点だった。

武豊騎手は「あれだけのスーパーホース。指名してもらって光栄だし、迷うことなく福島参戦を決めた。障害であれだけ強い馬だし平地でどんな競馬をしてくれるか楽しみにしている。当日は盛り上がると思うよ」と期待感を口にした。

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