オジュウチョウサンは4年8カ月ぶりに出走した平地競走3戦目で初勝利。やや重の馬場状態で勝ち時計は2分42秒3。数字は平凡でも内容は完勝だった。もともと障害は平地競走で頭打ちになった馬たちの受け皿になっている。その障害の王者の異例の平地競走挑戦に賛否両論が巻き起こった。
平地の速いペースに対応できるのか。障害がないレースで戸惑わないのか。オジュウチョウサンは自らの確かな走りでその疑問に答えを出した。
障害GⅠ馬が平地に戻って勝つのは史上初めて。障害レースの9連勝に続く10連勝目は重い価値のある平地での1勝となった。
長山オーナーの夢がかなった瞬間だった。
「強いね。あんなに強いとは……。武さんもやっぱり日本一。楽しみが広がったね」と満面に笑みを見せた。
「障害に戻すことは考えていない。今後の予定は武さん次第だけど有馬記念を使いたい。もうそれだけ。ファンの皆さんぜひ投票をお願いします」と興奮ぎみに訴えた。
無事に出走資格を獲得する最大のミッションは達成された。
オジュウチョウサンは障害がなくても強かった
武豊騎手は「いい結果を出したい気持ちが強かったしホッとした。ボクのキャリアでもこういう馬に乗るのはあまりないケース。500万下のレースでは感じたことのないプレッシャーがあった。拍手がすごかったので勝ったと思った。勝ててうれしいしファンが喜んでくれたのでよかった」と安堵の表情を見せた。
「オジュウチョウサンは障害がなくても強かった」と笑わせたのはさすが武豊騎手。
「すごい歓声でこの馬の人気をあらためて感じた。返し馬ではさすがという走りをしていたし、乗った感触ではもっと走れそう。機会があればまた乗ってみたい」と評価した。
また、「福島競馬場の100周年でチャンスがあれば乗りに来たいと思っていたが、スーパーホースに騎乗できて勝つこともできた。ファンの皆さんが盛り上がってくれて本当に良かった」と締めくくった。
スーパージョッキーとスーパーホースのコンビに福島の、全国のファンが熱い視線を送った。福島競馬場で見たファンの中には「未来のジョッキー」もいて歴史の目撃者となった。
須賀川市に住む加藤雄真君は13歳。現在は須賀川第二中の1年生だ。雄真君は2年連続で全国ポニー競馬選手権・ジョッキーベイビーズ決勝大会に東北・新潟地区代表として出場。一昨年が3位、昨年が東北勢として初優勝を飾っている。
現在も福島競馬場乗馬スポーツ少年団に所属し連覇を目指して乗馬の練習に励んでいる。
毎週土曜、日曜と須賀川市の自宅から電車やバスを乗り継いで福島競馬場に通ってくる。この日は朝の練習を終えてから父秀征さんら家族と合流しスタンド3階でレースを見守った。
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