コメから酒を造る「京急電鉄」常識破りの挑戦 10年前から秋田と交流、ついに独自銘柄発売

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蔵元「秋田銘醸」でオリジナル日本酒の仕込み体験をした京急グループ社員ら=2018年3月(記者撮影)

「日本酒の日」の10月1日、京浜急行電鉄創立120周年を記念した「オリジナル日本酒」の販売が同社グループの百貨店やスーパーマーケットで始まった。流通部門の社員がコメの一大産地、秋田へ出向き、酒米の田植えから、稲刈り、酒蔵での仕込みまでの作業に参加。京急と秋田の絆にちなみ「京秋の恵(けいしゅうのめぐみ)」と名付けたこだわりの日本酒だ。

グループ社員が「田植えから」

京急ストアで酒類の仕入れを担当する小川雅義さんは、田植えから仕込みまで参加した社員のひとりだ。発売日の1日午前、開店したばかりの品川店の店頭で瓶を並べながら「最初はどうなるか不安だったが、ラベルが出来上がって形になるとだんだん実感がわいてきた」と振り返った。「ビールや缶チューハイに比べて日本酒の市場は弱い。この機会に少しでも多くの人に日本酒に親しんでもらいたい」と話す。

店頭に並んだ京急オリジナル日本酒「京秋の恵」を持つ秋田銘醸の蛭田光一課長(記者撮影)

一方、試飲会の準備を終えた蔵元「秋田銘醸」東京出張所の蛭田光一課長は「電鉄会社と田植えから酒を造る、というのは初めてで大変なプレッシャーだった。とにかく売らなきゃ」とまだまだ安心できない様子だった。

オリジナル日本酒のプロジェクトは2017年5月18日、秋田県湯沢市の生産者、菅(すが)諭志さん所有の田んぼで酒米「秋田酒こまち」の苗を植えるところからスタートした。京急電鉄や京急百貨店、京急ストアなどから集まったグループ社員約20人が、JA全農あきた、湯沢市酒米研究会の関係者らとともに、泥にまみれながら手作業で田植えを体験。百貨店の担当者は「自分たちで造ることによって売り場でお客さまとの会話のきっかけにしたい」と1年以上先の日本酒発売を楽しみにしている様子だった。

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