コメから酒を造る「京急電鉄」常識破りの挑戦

10年前から秋田と交流、ついに独自銘柄発売

日本酒プロジェクトは酒米「秋田酒こまち」の苗を植えるところから始まった=2017年5月(記者撮影)
酒米の稲刈りに再び秋田を訪れた京急グループ社員=2017年9月(記者撮影)

それから4カ月が過ぎた9月下旬、日照不足や豪雨などを乗り越えて無事に収穫の時期を迎えた同地を再びグループ社員が訪問。JAの職員から手順やコツを教えてもらい、黄金色に実った稲穂を丁寧に鎌で刈り取った。

酒米は翌年、同市で銘酒「美酒爛漫(らんまん)」を製造する秋田銘醸の工場に運び込まれた。3月中旬、2日間にわたってグループ社員が日本酒の仕込み作業に参加した。

杜氏(とうじ)の指導を受けながら、磨かれた酒米の計量や洗米、蒸したコメを手で広げて冷ます作業、タンク内をかき混ぜる櫂(かい)入れなど、伝統的な日本酒造りを体験した。

「品評会で金賞取れる」

酒蔵で日本酒造りを体験する京急グループ社員=2018年3月(記者撮影)

日本酒はひと月ほどで完成し、マイナス5度の冷蔵庫で出荷を待つのみとなった。こうして、原料米は秋田酒こまち、酵母は秋田県が開発した「こまち酵母スペシャル」と、「オール秋田」にこだわった純米吟醸酒が誕生した。四合瓶(720ml)2000本の数量限定で、上大岡駅直結の京急百貨店のほか、沿線に40店舗を構える京急ストア、8店舗ある「もとまちユニオン」、駅構内のセブン-イレブンの一部店舗で販売する。値段は1本税込み1491円に設定した。

秋田銘醸の大友理宣取締役は「湯沢市でとれたコメを使って湯沢市の酒蔵が造った『テロワール日本酒』で、県内でも珍しい商品。果実を思わせる華やかな香りと膨らみがある上品な酒だ」と説明する。「同じスペックなら品評会で金賞や銀賞が取れるレベル」と仕上がりに自信を示す。

次ページ意外に長い京急と秋田のつながり
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