東急の新ビル「見えない難問」は解決できる? 渋谷ストリーム、「川沿いがにおう」の声も

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「渋谷ストリーム」のそばを流れる渋谷川。広場や遊歩道が整備され、水辺の憩いの場を演出している(記者撮影)

独特な「かまぼこ型」屋根のターミナル駅として長年親しまれ、2013年3月の地下化によって役目を終え姿を消した東急東横線の旧渋谷駅。同駅廃止から5年半となる9月13日、その線路跡地に渋谷の新たなランドマークとなる大型複合施設「渋谷ストリーム」が開業した。

渋谷ストリームは国道と首都高速道路を挟んで渋谷駅の南側に立つ、高さ約180mの高層ビル。地上35階・地下4階のうち、1~3階は飲食店を中心とした商業ゾーン、4~13階にはホールやホテルなどが入る。14階以上のオフィスフロアにはグーグル日本法人が本社機能を置くことでも注目を集める。

施設の狙いの1つは「新たな人の流れをつくる」ことだ。飲食店などが並ぶ2階の通路は、かつての東横線渋谷駅の「かまぼこ屋根」をモチーフとしたデザインの通路で渋谷駅と結ばれており、これまで道路によって隔てられたイメージの強かった駅南側への新たなアクセスとなる。さらに、旧東横線線路跡地を整備した遊歩道は、今回同時に開業したもう1つの複合施設「渋谷ブリッジ」へと通じており、渋谷と代官山方面を結ぶ新たなルートが生まれた。

流れがよみがえった渋谷川

今回の施設整備で特に目玉と言えるのが、渋谷川沿いに続くこの遊歩道と広場だ。ビルの谷間を細々と流れ、従来はほとんど陽の目を見ることがなかった川とその周辺を新たな憩いの場とすべく、渋谷区との官民連携によって環境整備事業を実施。川の両サイドに設けた「壁泉」から、落合水再生センター(新宿区)で下水を高度処理した再生水を放流することで、これまで水量がほとんどなかった川に水の流れを取り戻した。

川の両サイドから水が流れる「壁泉」。高度処理された再生水を放水し、川に流れを取り戻した(記者撮影)

水流がよみがえった川沿いには風が吹き抜け、渋谷ストリーム前の広場や遊歩道は新たな渋谷のスポットとして人気を呼びそうだ。だが、気になる点もある。店舗の関係者らによる、川の「におい」が感じられるとの指摘だ。

川沿いも含め、渋谷ストリームに入居する店舗付近や店内でにおいを感じることはなかったが、確かに川に近づくと独特のにおいが多少漂う。インターネットのSNS上でも「渋谷川に流れが戻ってうれしい」「川沿いの歩道がいい感じ」といった声と同時に「川のにおいが気になる」といった書き込みが散見される。

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