「定年後の年収は半分未満」が4割という現実 「労働時間は変わらない」人が半分以上だが…
60代前半の継続雇用の男性に、定年直前の年収を100%とした場合に現在の年収(勤労収入のみ)はどの程度の水準になっているかをたずねたところ、「50~75%未満」が37.0%と最も高く、次に「25~50%未満」が34.2%となっています。定年直前に比べて年収が50%未満に減少している人が継続雇用者全体の39.8%を占めています。
次に、継続雇用者の仕事に対するモチベーションが定年直前と比べてどのように変化しているかについて年収の変化との関係を確認したところ、定年後の年収の減少幅が大きいほど、定年直前と比べてモチベーションが低い傾向が見られました。定年後も年収が変わらない人の場合、「低い」と回答した人は2.3%だったのに対し、年収が75~100%未満になった場合では9.4%、50~75%未満になった場合では22.4%とその割合は高くなります。
また、「低い」と「やや低い」を合わせた、定年直前よりもモチベーションが下がった割合は、年収が変わっていない場合では約4人に1人なのに対し、年収が定年直前の25~75%未満の水準になった場合では、約3人に2人を占めています。
仕事内容の変化とモチベーション
定年後に継続雇用になった際、仕事内容に「全く変化はなかった」39.0%と「少し変化があった」33.1%を合計した約7割の人が、定年直前とあまり変わらない仕事を続けていると回答しています。
一方、19.0%が「かなり変化があった」、8.9%が「全く別の仕事になった」と回答しており、継続雇用を選んだものの、仕事内容に変化があった人が約3割いるようです。
そこで定年前後の仕事内容の変化の程度別に、現在の仕事に対するモチベーションを定年直前と比較してたずねたところ、仕事内容の変化が大きい人ほどモチベーションが低下していることがわかりました。
仕事の内容に変化がまったくない、あるいは少し変化があった場合、モチベーションが低下した人の割合は約5割でした(「全く変化はなかった」51.6%、「少し変化があった」53.8%)。ところが、仕事内容が大きく変化した場合には、その割合は約7割となります(「かなり変化があった」73.0%、「全く別の仕事になった」73.7%)。
継続雇用者の約4割の人が定年直前に比べて年収が50%未満に減少し、年収の減少幅が大きいほど仕事のモチベーションも低下しているのが実情です。
さらに継続雇用を選んだ理由としては「今まで培ったスキルやノウハウを活かせそうだったから」「職場や勤務地など環境を変えたくなかったから」が上位となっています。そのため、定年直前と仕事内容が大きく変わると、本人の希望やスキルとのミスマッチからモチベーションの低下につながるのではないかとも考えられます。
人生100年時代の職場では、継続雇用者の仕事のモチベーションを確保する仕組み作りが従来以上に課題となるでしょう。
また、働き手の側も定年後を見据えた自分のキャリアプランを考えることがますます大切になるでしょう。
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