スルガだけじゃない、世界で金融機関が暴走

株式投資家が企業を評価する際に必要な視点

しかし、最近の金融機関の不祥事はスルガにとどまらない。2016年の商工中金のデータ改ざんによる融資拡大以降、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の相場操縦や、東日本銀行のさまざまな手数料の問題や歩積み両建て預金の依頼などが報じられている。

<最近の金融機関の不祥事>
商工中金:2016年11月:不適切な融資。顧客データ改ざん
スルガ銀行:2017年1月:不適切な融資
スルガ銀行:2018年3月:顧客データ改ざん
三菱UFJモルガン・スタンレー証券:18 年6月:国債先物市場の相場操縦
東日本銀行:2018年7月:算定根拠が不明瞭な手数料。歩積み両建て

また、不適切とはいかないまでも、近年にはなかったような激しい営業姿勢も垣間見える。

ある銀行では、零細企業に融資する際、事業主が死亡したときに備えて、個人保証のみならず遺言信託まで依頼する。その信託報酬は借入額によっては数十ベーシスポイントにも上る。貸出金の一部を預金に置いておいてほしいと借り手に要望する銀行もある。一時的に余剰となる資金については、系列グループでの証券運用を勧められるのも一般的だ。いずれも、銀行から強制されているわけではない。しかし、お金を融通してもらう立場で断固として拒絶できるのかどうかは、微妙なところだろう。

共通点のあるウェルズ・ファーゴの不正事件

2016年、アメリカのリテール銀行大手で名門のウェルズ・ファーゴが不正営業を働いたとして米当局から処分を受けた。顧客に無断で開いた口座は200万口座にも上り、無断で作成したクレジットカードは56万枚、二重に加入させた自動車保険は57万件とされる。

ウェルズ・ファーゴといえば、多くの邦銀がロールモデルと仰いだ、リテール銀行の優等生だった。株価純資産倍率は2000年代初頭の最高値で3.2倍と、スルガ同様、アメリカの大手行の中で断トツだった。市場の尊敬を集めるウォーレン・バフェットの投資会社バークシャー・ハサウェイのコア銘柄でもあった。

リテール金融は、ロットが小さく手間がそこそこかかる。低金利環境下では、貸し出しだけをやっていても儲からない。このため、ウェルズ・ファーゴでは、1人の顧客にいくつもの金融商品やサービスを販売する「クロスセル数」を経営目標とし、最低8つの商品を販売するという支店目標も設定されていた。邦銀でも、これに倣い、同様の目標を設定する銀行も現れた。

ところが相次ぐ不祥事で、名声は失墜した。当局と和解し復調した後も、株価はピークから2割下落し、株価純資産倍率も他行より低いレベルにとどまっている。

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