不正まみれのスルガ銀行が抱える2つの難題 悪いことをした者同士で本当に変われるのか
第三者委員会(以下、委員会)の調査報告書と創業家出身の岡野光喜会長(1985年~2016年まで頭取、社長)を含む5人の取締役辞任が発表される前日の9月6日、それまでスルガ銀行のホームページにあった「会長メッセージ」がなくなっていた。
そこにはこんなくだりがあった。「スルガがリテールバンキングに特化しはじめた当時は、『銀行界の異端児』と呼ばれました。(中略)『今日の常識は、明日の非常識』『変化が常態』であるこの時代、スルガは『破境者』としてイノベーションを起こしてまいります」。
年明け以降、シェアハウス運営会社の経営行き詰まりで発覚したスルガ銀行の不正融資問題。今年5月の決算発表会見で米山明広社長(当時)は、「連続増収増益がプレッシャーに変わり、営業部門において力が入ってしまった」と説明し、「限られた支店だけがやっており、組織的ではない」と強調していた。しかし、今回、第三者委員会がまとめた調査結果によると、ノルマ達成のために書類改ざんなどの偽装はシェアハウス以外の収益不動産ローンにも蔓延していた。
「会社の職務として行われた不正」
9月25日発売の『週刊東洋経済』は、「銀行 破壊と再生」を特集。超低金利で多くの地方銀行は業績が低迷しており、ビジネスモデルの変革を迫られている。そうした中、スルガ銀行は個人ローンに特化したビジネスモデルで成長を続け、地銀の中では別格とされてきた。
だが、拡大の裏では社内で不正がはびこっていた。書類の偽装は、債務者関係、物件関係、売買関連と多岐にわたり、不正行為が疑われる資料の数は第三者委員会が調査したもので約800件、会社が調査したもので1000件を超す。
多くの行員が不正に手を染めそれを黙認した背景にあったのが、過大な営業目標と過度なプレッシャーだった。第三者委員会の調査報告書には「実行残高額、前年比利益等だけをみて数字を設定してしまっていたことに問題がある」「何を基にノルマの数字が決められているのかが分からない。問題は、単に数字だけ押しつけられるところ。例えれば、釣り堀に魚が10匹いないのに、10匹とってこいと言われる状況」といった営業を経験した行員の声がある。
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