当面のマーケットを「読む」うえでは、今は海外要因に注目すべきなのかも知れない。
何と言っても米国のドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の史上初の米朝首脳会談が6月12日(火)に開催の予定だ。これが、本当に行われるか、行われたとしてどう決着するのかは、わが国の株式市場を含めて、世界の資本市場に大きく影響する可能性のある大イベントだ。また、直近はイタリアの政局混迷が懸念されて内外の株価が大きく下げる場面が生じるといった、伏兵的材料も登場した。
「株価が政治要因で下がったら、買いから考えよ」
だが、投資やトレードに関する限り、政治要因だけで生じた株価の変動に対しては、「行き過ぎではないか?」という仮説から考えることがおおむねいいように思う。
長期的な資産形成を目指す一般投資家は、「高値の時にカラ売りで売って、安値の時に買い戻す」といった操作を上手くできると考えない方がいいので(大半の機関投資家も同様だ)、あえて相場格言を考えるなら「政治要因で下がった株価は、先ず買いから考えよ」とでも覚えておこう。
大きな問題なのは、金融の引き締め(「緩和の後退」を含む)で株価が下落する場合と、これにバブルの崩壊が付随する場合だ。資産価格は、金融的な要因には逆らえない場合が多い。これも格言化するなら、「株価は、金融には逆らえない」か。
この点では、政府及び日銀が金融緩和を後退させたり、緊縮的な財政政策を打ち出したりする場合には注意が必要だ。財政政策は、言葉の上で金融政策ではないが、特に現在の長期金利水準を固定する政策の下では、量的な緩和の規模にも強い影響を与えるので、緊縮財政(例えば増税)は「金融引き締め政策」なのだと考えて警戒するべきだ。
ここのところ、権威失墜気味の財務省だが、こと来年の消費増税に関しては、安倍政権に対する包囲網を狭めて、圧力を強化しているように見える点が不気味である。財政再建の重要性を口にする与党の政治家や経済人が増えている感じがする。
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