アメリカ経済の「真のリスク」とは何か

「バブル崩壊は間近だ」という分析は間違い

アメリカ経済は今「バブル崩壊直前」なのだろうか。ぐっちーさんは「真のリスク」は別なところにあると指摘する(写真:ロイター)

「アメリカ経済は完全にバブルだ」という話が最近よく出てきます。
先日も討論会で、「アメリカ国内の与信総額はすでにリーマンショック前のピークを越えており、これは明らかにバブルだ」、と指摘してきた某大学の経済学部教授がいたので、思い切り反論をしてやりました。今週のワタクシの有料メルマガで詳しく解説しましたが、簡単に申しあげておきます。例えばこんなデータが出ています。

これは四半期毎にニューヨーク連銀がまとめるアメリカの家計における負債調査で、2018年第1四半期の家計が持つ負債総額は13兆2100億ドルに達しており、確かに2008年のリーマンショック前のピークであった12兆6800億ドルを超えています。

今のアメリカが「リーマンショック前」とは違う理由

この連載は競馬をこよなく愛するエコノミスト3人による持ち回り連載です(最終ページには競馬の予想が載っています)。記事の一覧はこちら

しかし、経済学者たるのもの、それで議論してはいけないわけです。そのあとにクレジットスコア(金融機関が与信を与える際のスコアリング)は755から761に上がっており、ニューヨーク連銀のエコノミストがわざわざ、「恩恵を受けているのは主に富裕層であり、そうでない人々にはほとんど融資は広がっていない」、とコメントを付けています。

つまり、貸出金額は増えているものの、それはクレジットスコアの高い富裕層向けの融資が中心で、貧乏人には恩恵は来ていないよ、ということです。あの時代は融資が拡大しつつ、クレジットスコアなんぞそれこそ「サブプライム」まで行ったわけですし、それを元手にさらにレバレッジをかけていたわけですから、それはひとたまりもなかったわけです。

2006年の段階で「これはバブルがはじける」とわれわれが予想したのはまさにこれがポイントでしたし、実際にはじけたあとも、「サブプライムローン自体はアメリカのGDPの0.8%しかないので、大したことがない」、と言っていた方がほとんどで、「大変だ!!」と騒いでいたワタクシを「モーサテ」(テレビ東京の朝の経済番組)が珍しく呼んだくらいですから、まさに少数派だったと言っていいでしょう。

ところが、今のこの状況で「バブル」などと言っている学者がいるわけですから、本当に参ります。 もちろん「ドナルド・トランプ大統領が何をするのかわからない」、というのは大リスクと言えます。しかし、こればかりは予想ができないので、「関東大震災が明日来る!」 と似たような話になってしまいますので、この話には触れません。

次ページではアメリカ経済の「真のリスク」とは?
マーケットの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 角田陽一郎のMovingStudies
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
人気の動画
東芝、会社「3分割」に残る懸念
東芝、会社「3分割」に残る懸念
ウエルシアがイオンと挑む「ドラッグストア飽和」打破の勝算
ウエルシアがイオンと挑む「ドラッグストア飽和」打破の勝算
企業同士の取引で「値上げラッシュ」が起きている
企業同士の取引で「値上げラッシュ」が起きている
百貨店の最終兵器「外商ビジネス」が抱える難題
百貨店の最終兵器「外商ビジネス」が抱える難題
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「非財務」で生きる会社、死ぬ<br>会社 企業価値の新常識

今や株価を決める最大の要因は「非財務情報」というのが世界の常識に。優れた開示を行えば企業価値の向上につながる一方で、開示が不十分だと株を売られるリスクも。企業価値の新常識をめぐる混乱とその対処法に迫りました。

東洋経済education×ICT