スルガ銀行型「サブプライム問題」の深刻度 「不動産バブル」が崩壊するのはいつか?

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一般的には、金融引き締めで株価が下落しても、次の金融緩和を背景に2年くらいの期間を待つと株価が戻るような展開が多い。長期投資家は、持っているリスク資産について、「売らずに、価格回復を待つ」ことと、「チャンスと余裕があれば買い増しする」といったアプローチが正解になる場合が多い。

ただし、資産の価格下落の前に大規模なバブルが生じている場合には、バブルのサイズを気にしなければならない。日本の資産価格にバブルは生じているか。あるいは、今後バブルが生じる可能性はあるだろうか。

「スルガ型サブプライム問題」とは?

現在、スルガ銀行のシェアハウス関連融資が事件化している。すなわち、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営するスマートデイズが破綻、投資資金を貸したスルガ銀行の業績を直撃した。この問題には、小型ではあっても、「次のバブル」に向けた可能性がひとそろい詰まっている。

事件は、スルガ銀行が、シェアハウス向けの融資に当たって、借り手の信用力を実際以上に水増しする資料の改竄などを行って、不正に融資を実行したものだが、オーナーにシェアハウスを販売し家賃保証を付けていた業者が倒産して問題が表面化した。

一般にバブルは、(1)借金して投資を行うことで、過剰な投資が行われ、(2)実態価値以上の資産価格が形成される、ことによって発生する「資産価格の高騰現象」だが、(3)借金による投資の背景には「リスクを実際よりも小さく誤認させる仕掛け」があることが多く、一つのポイントだ。

1980年代後半に起きた日本のバブルでは、企業が借金を使って株式運用に資金を投じた、いわゆる「財テク運用」に信託銀行や投資顧問会社が通称「握り」と言われた利回り保証を裏で行ったことが、余計な借金による株式投資を生んだ。財テクに手を染めた企業は、例えば、「信託銀行が保証してくれているのだから、リスクはない」と考えたのだ。

他方、「サブプライム問題」が最終的には2008年のリーマンショックから世界的な金融危機に至った米国の不動産バブルでは、「証券化」によって住宅ローンのリスクが低下しているとのリスクの誤認が起きた。その結果、サブプライム層(優良な借り手とは言えない人々)への過剰な不動産融資につながった。

なお、日本の「握り」も米国の「証券化」も、賢い金融マンは、これが永続できるようなものでないことを分かっていたはずだが、自分の個人的な利益(日本では人事評価、米国ではボーナスやストックオプション)を達成するためには、それに気づかぬふりをして、融資・投資の拡大に励んだ点が共通である。

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