知らないと損する、万が一の「休職のルール」 傷病手当金の平均支給期間は約5.5ヵ月

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傷病手当金は、要件を満たすかぎり支給開始日から最大で1年6カ月間もらい続けることができます。これは、1年6カ月分支給されるということではなく、1年6カ月の間に仕事に復帰した期間があり、その後再び同じ病気やケガにより仕事に就けなくなった場合は、復帰期間も1年6カ月に算入されます。支給開始後1年6カ月を超えた場合は、仕事に就くことができない場合であっても、傷病手当金は支給されません。

参考までに、協会けんぽにおける傷病手当金の平均支給期間は162.77日(約5.5カ月)、精神及び行動の障害では209.11日(約7カ月)と傷病別にみても長期間に及ぶ傾向が見て取れます(「現金給付受給者状況調査(平成29年度)」より)。

1日当たりの支給額の計算方法は、下記のとおりです。

(支給開始日以前の継続した12カ月間の各月の標準報酬月額を平均した額)÷30日×3分の2

わかりやすく言えば、過去1年間の平均給与額の3分の2程度です。平均給与が30万円の場合、1カ月休業すると約20万円もらえる計算になります〔注:健康保険組合によっては、さらに増額(付加給付)されたり、支給対象期間が1年6カ月超の場合もあります〕。

2016年3月31日までは、休んだ日の標準報酬月額が基準となっていました。ところが、不正受給等の問題から、継続した12カ月平均に見直しが行われました。入社して1年未満の場合は、加入する健康保険組合の平均標準報酬月額(協会けんぽの場合28万円)と比べて少ないほうの額が採用されるため、転職後の病気やケガには、特に注意したいところです。

退職後引き続き受給できることも

「傷病手当金は、退職するともらえなくなるのか」と質問を受けることがありますが、退職後も引き続きもらえるケースがあります。それは退職日まで健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あり、退職日に傷病手当金を受けているか、受けられる状態(上記支給要件)を満たしていれば、退職後も引き続き傷病手当金を受けることができます。

ただし、いったん仕事に就くことができる状態になった場合、その後さらに仕事に就くことができない状態になっても、傷病手当金は支給されません。

なお、病状が快復して働ける状態になれば、傷病手当金の支給は終了しますが、一方で雇用保険の失業手当(正式名称は基本手当)を申請することは可能です。

病気やケガなどで働けないときは、自社のワークルールと合わせて、各種保険制度からの給付金についても押さえておくと安心と言えるでしょう。

佐佐木 由美子 人事労務コンサルタント/社会保険労務士

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ささき ゆみこ / Yumiko Sasaki

グレース・パートナーズ株式会社 代表取締役。アメリカ企業日本法人を退職後、社会保険労務士事務所等に勤務。著書に『採用と雇用するときの労務管理と社会保険の手続きがまるごとわかる本』をはじめ、新聞・雑誌等多方面で活躍。グレース・パートナーズ株式会社の公式サイトはこちら

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