知らないと損する、万が一の「休職のルール」 傷病手当金の平均支給期間は約5.5ヵ月

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特に近年増えていると言われているのが、うつ病など精神疾患による休職です。厚生労働省が実施している患者調査によれば、日本の気分障害患者数は1996年には43万3000人でしたが、2002年には71万1000人、2005年には92万4000人、2008年には104万1000人と、著しく増加しています。

協会けんぽにおける「現金給付受給者状況調査(平成29年度)」の傷病手当金の受給原因となった傷病別に件数の構成割合をみると、「精神及び行動の障害」が28.6%と最も高く、次いで「新生物」(19.19%)、「筋骨格系及び結合組織の疾患」(11.14%)、「循環器系の疾患」(10.65%)、「損傷・中毒及びその他の外因の影響」(7.25%)となっています。

「精神及び行動の障害」は、1995年にはわずか4.45%であったものが、2003年には10.14%と1割を超え、平成29年には28.6%と3割に迫る勢いで増加しています。年齢階級別にみると、55歳未満の各階級で「精神及び行動の障害」が最も高く、20~29歳では50%を超えていますが、30歳以上は年齢が高くなるに従い減少しています。逆に、「新生物」の割合が年齢が高くなるに従い増加し、55歳以上の各階級では最も割合が高くなっています。

傷病手当金の受給要件とは

休職中は、ノーワーク・ノーペイの原則から給与が支払われないことも多く、治療が長引けば生活への経済的不安も募ります。こうしたときに役立つのが、健康保険に加入している被保険者が利用できる「傷病手当金」です。病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。

具体的には、次の(1)から(4)の条件をすべて満たしたときに支給されます。

(1) 業務外の事由による病気やケガの療養のために休業していること
(2) 病気やケガのため仕事に就けないこと
(3) 連続する3日間を含み、4日以上仕事に就けなかったこと
(4) 休業中に給与の支払いがないこと(給与をもらっていても、その額が傷病手当金より少ないときは差額が支給されます)

療養については、必ずしも入院している場合に限らず、自宅療養の期間や自費で診療を受けた場合でも医師による労務不能の証明があれば対象となります。

仕事を休んだ日から連続して3日間は「待期期間」といって、支給の対象にはなりませんが、土日・祝日などの公休日も含めてカウントすることができます。また、有給休暇を取得していても関係ありません。

たとえば、金曜日に病気が発症して仕事を休み(有給休暇取得)、土曜・日曜日の公休日も引き続き働けない状態の場合、月曜日から支給対象となります。

ただし、業務上・通勤災害によるもの(労災保険の給付対象)や病気と見なされないもの(美容整形など)は支給対象外となります。また、医師から処方箋が交付されているにもかかわらず、薬を服用しないなど正しく療養をされていない場合は、傷病手当金が支給されないこともあります。

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